ぎょーむ日誌 2001-09-(21-30)

2001 年 09 月 21 日 (金)

• 0810 起床． あ， 寝坊した． えーい「遅刻」してやる．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯． シャワー．
• 0835 自宅発． 晴れ． 特急に乗って 0845 京急平和島発． 普通に乗り換えて 0810 京急上大岡発． 0925 研究所着．
• お， 計算まだ続いてる …… よし， 最初のパラメーター組合せで 80 年で 8 個体残っている． 樹高は約 1000cm でそろっている． よーやく， それらしい計算結果でるようになったか?

[昨夜の戦い] 10m2 に 30 個体． これは 24 年目． これが 80 年目には 8 個体に減じる． その高さは約 1000 cm． それはいいんだが， 生き残ったやつらの太さが 6cm なんだよね． 一様に．

• しかし， 背が高くなるばかりでちっとも太らないのである． こういうふうに．

• 現在時刻は 1545． 今日もここまで発表準備がまるでできなくて， PipeTree の改良に費されてしまった． 「変な結果でもかまわずに発表する」 度胸がなかったためである． やはり 40 年間高くなってるのに まるで直径成長しない樹木， というのはいかにもマズいではないか．
• 私のアタマはここ数日でますますヘンになって その怪現象の原因をなぜか特定できなかった． で， 「うーん， 光の入射方向を制限すればもっと詰め込めるだろーか」 とまったく見当はずれな実験に手を出そうとしたところで， 甲山メイル．
• 「パイプ再利用やめたら」 なるご提案． そう． これをやめれば死んだパイプは 直径成長として加算される． 競争厳しくてもぶくぶく太る． そうか． これだ．
• なぜ私がこれを考えつかなかったか …… 理由はいろいろあるんだろうが， ひとつには「死んだパイプ再利用」というのは 今回の Abies PipeTree のウリのつもりだったんで， PipeBundle のコードなんかもそういう方向に 特殊化させていた， ということもあるだろう． わかりやすくいえば， 死んだパイプは捨てると改造するのは面倒だったのである．
• 結局改造には 5 時間を要した． 「えーと， あんた死ぬときには面積を親に申告して …… そっちの葉っぱも同様， 勝手に死なない …… ここで二重にカウントしないためには ……」 などなど小うるさいルールに 注意しなければならぬためである． 実は「パイプつなぎかえによる再利用」モデル のほうがチェックすべきこと 少なくてラクだったんだよね．
• 15 時すぎから試験運転． うん． 死んだパイプ使わずに新しく材を作ることにすると ぶくぶく太るね． やっぱり「再利用ナシ」が正解だったか． パラメーター調整のため， 単木を狭い独房にほうりこんで成長実験．
• 独房群屋上にあがってストレッチ． 曇天． 肩と腰の具合がヘンだ． うう． 独房群まわりのよくわからぬ土木工事は えらく進んでるな． いやはや．
• えーと …… この「死んだパイプを再利用」のアイデアの由来であるが …… 発端は北大低温研の隅田さんである． 樹木は上部はよく肥大成長するわりには 基部はあまり変わらない． で， 私がモデル屋的なつじつまあわせを行う． そりゃあ， 下では死んだパイプを再利用してるからでしょ． よしそれでいこう， と甲山さんがその方向に後押し． ということで， 責任は当事者三人に等しくあると考えられる．
• 私はコードを書き直したし， 甲山さんは改良案を出した． ということで， 隅田さんは何をやってくださるのだろうか …… なんか疲れてるな．
• 今晩の計算に使うパラメーターセットをようやく決めて帰宅準備． 今日も発表準備ができなかった． 1930 研究所発． 雨． 普通に乗って 1940 京急杉田発． 快特に乗り換えて 1950 京急上大岡発． 普通に乗り換えて 2015 京急川崎発． 2040 帰宅．
• まぬけなことに ThinkPad の AC アダプターを 独房区画内に置き忘れて来た． どうせ明日も計算結果を見るべく独房群にいくつもりだったが．
• 「ぎょーむ日誌」によるとちょうど一ヶ月前に Abies PipeTree の開発に取り組み始めたんだけど， いまだに思いどーりになってないな …… Abies 意外と難しい．
• けべっく出発まであと 5 日．
• 今日の食卓
  • 朝 (0820): 米 0.6 合． キャベツ・ニンニク茎・ニラ・ヒラタケの炒めもの．
  • 昼 (1310): 弁当． 米 0.7 合． 朝と同じ．
  • 晩 (2100): 米 0.7 合． 朝と同じ．

2001 年 09 月 22 日 (土)

• 1100 起床．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯． シャワー．
• 1230 自宅発． 曇． 普通に乗って 1240 京急平和島発． 快特に乗り換えて 1250 京急蒲田発． 普通に乗り換えて 1310 京急上大岡発． 1325 研究所着．
• 昨晩の計算結果だが …… こんどは高さが足りんか． 殺しすぎだし．

• 甲山さんが「ニセ」シラビソならぬ トドマツの写真を送ってくださる．

[トドマツ] 札幌・森林公園． 甲山さん撮影． Abies というのがどういう 生き物なのかよーやく全体像がわかった．

• これを見ながら夜中まで改良作業を続けるも成果あがらず． 2300 研究所発． 深夜の杉田を走る． 運動不足を痛感． 品川行き最終電車(普通)に乗って 2318 京急杉田発． 2405 京急大森町着． 2420 帰宅．
• けべっく出発まであと 4 日． 発表準備がまったくできてないのがかなりやばい．
• 今日の食卓
  • 朝 (1130): 米 0.6 合． キャベツ・ニンジン・干しシイタケの味噌炒め． 食料無くなってきた．
  • 昼 (1530): 弁当． 米 0.8 合． 朝と同じ．
  • 晩 (2440): 米 0.6 合． 朝と同じ．

2001 年 09 月 23 日 (日)

• 0930 起床．
• 朝飯・弁当の準備． と言ってもコメ以外何もないな． 朝飯． シャワー．
• 1055 自宅発． 晴れ． 普通に乗って 1103 京急平和島発． 快特に乗り換えて 1114 京急川崎発． 普通に乗り換えて 1140 京急上大岡発． 1155 研究所着．
• やっぱ， 「パイプ再利用アリ」 では太さが足りんか． パラメーターセットは これ ．

• 見てくれはそれなりなんだけどね． 下の図は 80 年目． 小さいのが生き残りすぎか．

• 呼吸量が樹木の全表面積に比例する， としてるんだが …… これをかなり小さくしてみる． でないと， こういう樹型にはならないのである (高齢化に耐え切れず下の枝から切り捨ててしまう)．

• さすがに時間が無くなってきたので， 試行錯誤計算を続けつつ発表の準備を始める．
• いまの PipeTree の難点のひとつは， 個体の生死が維持呼吸量に強く依存してる点だろうな …… 同化部分をいじって暗くなったら死ぬようにしてみる． ただし明るいところではいままでと同じように生産する．
• 「今度はうまく行ってくれ」と念じつつ集団計算の 設定して帰宅． 2225 研究所発． 普通に乗って 2238 京急杉田発． この時間は普通ばかりが走ってるので， このまま 2320 京急大森町着． 気合だけで 2400 まで開店してる マルエツで割高な食料買って 2340 帰宅．
• けべっく出発まであと 3 日．
• 今日の食卓
  • 朝 (1000): 米 0.7 合． 目玉焼丼．
  • 昼 (1405): 弁当． 米 0.6 合． 握り飯． 野菜とか買っておかねば．
  • 晩 (2400): 米 0.5 合． ニンジン・ネギの雑炊．

2001 年 09 月 24 日 (月)

• 0940 起床． 今日は振替休日である． むろん私には関係ないが． いや遅起きできたから恩恵はうけているか．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯． コーヒー． シャワー．
• 1108 自宅発． 晴れ． 普通に乗って 1120 京急平和島発． 快特に乗り換えて 1130 京急蒲田発． 普通に乗り換えて 1150 京急上大岡発． 1205 研究所着．
• さーて， 昨晩の計算結果は …… よーし． 追い詰めたぞ． これで 王手 だ．

• まずい点は …… 最大個体なんかにおいて 少し背が高くなりすぎ． 最大太さはこんなもんか． 一番ダメなところは， 相変わらず森林の底で樹高低いままに ぢりぢり粘る連中がたくさんいるところだろうな (高さ競争に追随できない場合は， いっそ姿勢を低くしたほうが生残に有利なのである)． 80 年間で 3 個体しか死んでない．

• 昨晩のパラメーターセットは これ ． さて， あともうちょいだ．

Age 20	Age 20
Age 60	Age 80

• これらの計算結果からわかることは， 私が三次元虚業ライブラリで計算させている 「開空度ごとき指標」 は現実に観測される開空度だの 局所的な光量子密度とは， ちょっと別物らしい， ということだ． むろん何らかの関係はあるはずなんだけど …… まず， そのあたりのズレを念頭において， 低成長でも生残する努力を諦めぬ連中を無情にも一掃する 方向でパラメーターを調節する．
• 「開空度ごとき指標」 そのものについてはまたけべっく後にでも じっくり再検討するつもりだ． とくに天球上の光分布とかの計算がでたらめなんだろうな．
• 終盤の「詰め」をねらった パラメーターセットを調整しつつ， 発表の準備をぢりぢりと進める． 後者は進捗しない．
• 時刻は 2000． よーやく， 縞枯山観測データと似たような外観の計算結果得られた． データの図はまた後日． 各時刻における「先頭集団」の 高さ-太さ関係はまぁだいたいこういうかんぢである． 80 年たった時点で小さいのが まだしぶとく粘ってるところが相違かな． この低い連中は光不足で死にかけてるんだけど 最後まで持久してしまった．

Age 80， 追撃終了．

• 長かった「縞枯山追撃戦」に決着をつけたパラメーターセットは これ ． 「ぎょーむ日誌」読者ならよくご存知のように， そもそもこの Abies PipeTree モデルにあやしい点が多々あるので， こういった数値もまた全く信頼できないものではある． とはいえ， けべっくに集まる怪しげな人々は 誰も「ぎょーむ日誌」など読んでないはずなので (日本人参加者は 4-5 人以下に減ったもよう)， さも偉そうにこういった結果を発表してみせればよいのである．
• 「勧進帳」に書かれていた， 光合成速度高くした場合の計算もやらせてみる． こっちはあまり面白い結果がでそうにないが． 動画作成準備のジョブも走らせる． けべっく到着当日・出発前日に宿泊する 空港すぐそばの宿屋に確認のファクシミリ送る．
• 帰宅準備． 2150 研究所発． 晩飯にでかける水循環の栗田さん (…… もまた発表準備の追い込みらしい) が ありがたくも駅近くまで車で送ってくださる． 普通に乗って 2200 京急杉田発． 特急に乗り換えて 2228 京急神奈川新町発． 夜なのでヘンな場所で乗り換えてる． 2240 京急平和島着． 2250 帰宅．
• 発表準備まだまだであるが， 明日一日でなんとかするつもりである． 今日は早めに寝る． といってもすでに 2400 すぎてるが．
• けべっく出発は明後日．
• 今日の食卓
  • 朝 (0950): 米 0.6 合． 豆腐・ニンジン・ネギ・ヒラタケの炒めもの．
  • 昼 (1440): 弁当． 米 0.7 合． 朝と同じ．
  • 晩 (2310): 米 0.7 合． 朝と同じ．

2001 年 09 月 25 日 (火)

• 0710 起床． 5 時間ぐらい寝たか．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯． シャワー．
• 0745 自宅発． 晴れ． 特急に乗って 0752 京急平和島発． 普通に乗り換えて 0820 京急上大岡発． 0835 研究所着．
• 最大同化速度 pmax を 3.5 → 4.0 としてみる 計算結果は …… あまりかわりばえせんな． 全体に樹高と太さが 1 割ちょっと増えたぐらいだ． 80 年の時点で生き残った個体は 15 本． これは変化ナシ． pmax を上げると， 低い個体も効率よく稼ぐので なかなか死ななくなるためである．
• 1000 日本旅行の担当が来て航空券など持って来てくれた． 出入国カード一式などが記入済で取り揃えられており， なんつーか至れり尽くせり． 大名旅行だなあ (格安チケットだけど)． え? 明日の成田出発 1600 だっけ? ということは， 明日も独房群で最後の悪あがきができるわけか． うーむ．
• goo の 路線時刻表 で調べてみると …… ふーん， 1204 JR 新杉田発で 1358 に成田空港に到着するな． 今日はふつーに帰宅してもよさそう． 明日の午前に発表用のトランスペアレンシー印刷していいわけだから …… あ， なんか急に安心してしまった． 脱力．
• 脱力すると発表準備はますます進まず． へっぽこ．
• 東京シティエアターミナル (TCAT) で塔乗手続と出国審査すませたら便利ですよ， と教えてもらったのだけど …… てろのおかげで TCAT は塔乗手続やらないそうである． 成田に早めにいかねばならんようだ．
• 午前中は発表用の作図をぢりぢりと． なんか胃腸の具合がヘンで気分悪い． 昼飯の弁当もほとんど残す． 晩に雑炊にでもして食べるか．
• 午後も準備を進めるけど， なかなか進捗しない． いったん帰宅． 明日は自宅 →独房群 (カラープリンター使う) →成田， と関東三県にまたがる移動になるわけだ．
• 1855 研究所発． 普通に乗って 1908 京急杉田発． 快特に乗り換えて 1918 京急上大岡発． 普通に乗り換えて 1940 京急川崎発． 2005 帰宅．
• 帰りがけに 100 円ショップで 携帯型の目覚し時計だの それほどちゃちではない十徳ナイフだのを購入． どうしてこれが 100 円なんだろうか．
• ところで， 考えてみればふつーの靴も所有してないので (山靴・山スキー靴はある …… ここしばらくはスポーツサンダルを常用)， 迷ったけど黒の革靴を買う． これは 100 円モノではない． 米 2ヵ月ぶんもした． かなり長もちさせなくては．
• 晩飯後にとりあえず旅仕度． といっても国内旅行とかわりないな．
• さて， 明朝までに発表準備を終らせなくては．
• けべっく出発は明日．
• (一言近況) 日英同盟の間諜として， 英連邦から分離独立をもくろむ けべっくを内偵してきます． ということで， しばらく「ぎょーむ日誌」 などは更新されないでしょう． (2001.09.25)
• 今日の食卓
  • 朝 (0715): 米 0.8 合． タマネギ・エノキダケの炒めもの．
  • 昼 (1250): 弁当． 米 0.2 合． 朝と同じ．
  • 晩 (2010): 米 0.6 合． 昼の残りで雑炊．

2001 年 09 月 26 日 (水)

• うー， 結局， 夜中から朝まで作業していた． 昨晩 2200 すぎから 1 時間ぐらい寝たんだけど． 発表準備はよーやくほぼ終了． 残り 5 % というところか．
• 朝飯． シャワー．
• 0720 自宅発． 晴れ． 特急に乗って 0730 京急平和島発． 普通に乗り換えて 0755 京急上大岡発． 0810 研究所着． あ， だんだん眠くなってきた． いかん． 今朝も朝から気分悪いし．
• いつものごとく発表材料 HTML でまとめている． 液晶プロジェクター使えなかった場合に 備えてトランスペアレンシーに印刷して持って行く． さいごの結論じみた部分がまだなんだけど (書くことがどうも思い浮かばない)， まず全体を見直してみる． あちこちに抜けだらけなんだよなあ． 20 分で何もかもしゃべるわけにもいかんのだけど．
• 昨日， 何枚か Abies PipeTree で解像度やや大き目の POV-Ray 図作ったんだけど …… これってあまり樹木らしくない物体だねえ． パラメーター探索の過程で 「計算速く終るように」 というバイアスがかかって， こういうすかすかな構造になってしまったんだろうな． ああ， 計算速度計算速度．
• 出発時刻までひととーり投影原稿を完成させて， Phaser のカラーレイザープリンターから印刷出力．
• (更新情報?) 今回の 旅程表 ． (2001.09.26)
• うーん， この旅程表がうまく転送されてないような気がするんだけど， もはや時間が残されていない．
• 1140 独房群脱柵． 暑い． 1154 JR 新杉田発． 成田空港まで 1870 円． 1210 JR 横浜着． 成田エクスプレスというのに乗るには 指定席券というのを買わねばならない． 2090 円高い．
• 1230 なんと 3 両編成のえくすぷれすなる電車に乗って横浜発． 最後の途中停車駅である JR 東京で 6 両を追加合体させる という面倒なシステムである． 車中ではほとんど寝てた．
• 1358 成田空港着． 考えてみればここに来るのは初めてだ． なぜか改札口を出ていきなり手荷物検査． 4F まで上がってノースウェスト (NW) の塔乗手続すませる． ここで時刻は 1420． 出発までまだ 2 時間ほどある．
• 空港内うろうろして現金を少しおろしたり， 6 万円ほどカナダドルに換えてみたり (1CD = 75 円ぐらいなのに両替屋は 1CD = 85 円で交換する)， 気休めのかけすて海外旅行保険 9000 円に加入してみたり (これが一番安い)， 食欲ないんで軽めの昼飯食ったり ……
• 1500 出国審査． これはとくに行列もなくすぐに終る． 1535 NW12 便の B-747-400 に塔乗． 半分未満の搭乗率か? ダークグレイと赤の塗装． なかなか機体が動かぬ． 1625 タクシング開始． 1640 離陸． 乗り継ぎ地のデトロイトまで 11 時間 30 分かかる．
• 1755 晩飯． 夜の方向に飛んでるので気外はすでに真っ暗． 晩飯食うといよいよ眠いけど， 機内ではできるだけ眠らないようにしてみる． いま到着地は早朝である．
• 機内で上映されていた映画を 3 本見たんだけど， どれもほとんど英語が聞き取れない． ひとつは子どもむけのですごく簡単な内容だったんだが． うーむ． まぁ， なるようになれ， だ．
• ときどき眠りこみそうになる． 2230 アンカレジ北方を航過． カナダに入ると機外の眺めが面白い． 氷河に削られてできたような湖沼地帯． 水と地面がまだらにりいりまじっている． 人造物まったく無し． 陸地部の起伏上に 青カビのように森林がある． 赤カビみたいなのは紅葉だろうか． 26 時すぎに夜食とも朝飯とも昼飯ともつかぬものが出される．
• 2726 = 東部時刻 1426 (9 月 26 日) にデトロイト着陸． 以下は東部時間に切り換えて表記する． 乗り継ぎだけなのに入国審査あり． 行列長くて 40 分ほどかかる． 私自身のはすぐに終ったんだが ……
• と油断してると， 預けた荷物回収して税関検査にむかう途中の通路に 立ち並んでた警官たちの一人に尋問喰らう．
  「あんた，その荷物だけかね．パスポートと税関審査票を」
  「そうです．はい，これ」(荷物少ないとかえって目立つのか)
  「今日はどこまで」
  「モントリオール，カナダ」
  「用事は」
  「仕事の会議」
  「なんの仕事」
  「えーと，えーと，学術的な会合です．森林生態学」
  「日本の forester か」
  「ええ，そうなんですよ」 (我ながらあまりにもインチキなので思わず失笑)
  「(意味不明な笑いを怪しんで) 何の樹木を研究してるんだ」
  「えーと，『ニセ』 …… いやいや針葉樹です針葉樹」
  「そうか，針葉樹か」(と釈放)
  …… というふうに 針葉樹を取り扱う森林官になりすませてようやく突破．
• 税関出てすぐにまた荷物預ける． 何でいちいちやりなおさないといけないんだ． バスに乗ってモントリオール行き出発便のターミナルに移動． 1540 F コンコース着．
• 日本旅行の担当氏が乗り継ぎ時間によゆーのある 組み合せに変えてくれたので， まだこれから 1 時間ちょい待たねばならない． いや， こういうふうに変更したのはまったくの正解だったんだけど．
• 腹が減ってるような気分でもあるんだが， なんか食ってばかりのような気もしたんで， スターバックスで飲み物だけ買う． 米ドル持ってないんでクレジットカードで支払う． 10 ドル未満なのでサイン無し．
• で， 買ったのが Caramel Apple Cyder 3.15 ドル． 高い． これが何なのかまったく見当つかなかったんだけど， カフェインの入ってないものは選択肢が他になかったんで …… えーと， ですね． Caramel Apple Cyder 解説． 熱くしたリンゴジュースに ホイップした生クリームてんこ盛りにして その上に褐色のカラメルシロップかけまわした， というようなすごい飲み物だった． うう．
• 雑誌スタンドのぞいたんだけど， 自動車・ヨット雑誌はいくつもあるのに 航空機雑誌はひとつも無い． ナゾ． おかげで無駄な出費をまぬがれたけど．
• 1650 NW1106 便塔乗． 今度の機種はなんと DC-9 (1 通路座席 2-3)． モントリオールってそんなに田舎なのか． 1700 すぎ離陸で 1840 ごろ着陸． 覚えてないのは， Caramel ... の高脂肪の薬効あらたかで 機中ではほとんど熟睡していたのである． ああ， 時差がでそう．
• モントリオール南方の Dorval 空港の 入国審査・税関突破にもやはり 30 分ほど要する． 1920 到着ロビーにたどり着く． さっそく電話カード買って泊まり先に 連絡しようとしようとする． カード式公衆電話のしくみが 日本とは異なる方式なので少々てこずった．
• 1940 宿屋から指定されたバス乗り場でまっていると， ここらのホテルで共有してるらしいマイクロバスが到着． 1945 空港すぐそばの Comfort Inn Aeroport 着． 長かった今日の移動はここまで． やれやれ．
• Comfort Inn は 2 階建の小さなホテル (inn) である． しかし 100 カナダドル程度の安い部屋なのになかなか広い． 大森の自宅より面積が大． でかいベッドだのソファだのテイブル・椅子セットまである． トイレ・風呂場もでかい．
• 風呂などに入ってのんびりとする． 明日は樹木モデル屋が隔離される モントリオール郊外まで移動するだけ． 空港で迎えのバスを待てばよいのである． 「学術的な会合」とやらは明後日の朝からである．
• ちと腹が減ったので持参のカンパンなどかじる． なんでこんなの持参してるんだ．
  • 朝 (0650): 蕎麦．
  • 昼 (1440): コーヒーとホットドッグ． 成田空港内でおそらく一番安い組み合せ． 500 円．
  • 晩 (1755): NW 機内食． ミートローフと温野菜添え． パン． いなり寿司． 蟹いり (ってカニかまぼこなんだが) 卵焼． ミートボール． チョコレイトケーキ …… と内容的にはほか弁屋の洋風幕の内弁当．
  • 夜食? (2626 = 東部時刻 1326) NW 機内食． ハムとチーズ入りオムレツ． ポークソーセージとブロッコリー添． クロワッサン． オレンジジュース． 果物．

2001 年 09 月 27 日 (木)

• 0730 起床． けべっく， Dorval 空港近くの Comfort Inn． よく寝た．
• 今日は 1300 かそれ以降のバスで空港出て， モントリオール郊外の隔離場所に移送されるだけである． それ以外はまったく何もなし．
• ここは小さいホテルなんで食堂のたぐいはない． しかしロビーに朝食販売が来てるので トレイを自室に持ち帰って食べる． そこらで売ってるのを盆にならべました， というだけの内容． しかし値段 3 ドル (230 円ぐらい) なんで妥当ではある． コーヒー・紅茶は 24 時間無料．
• 朝飯食ってシャワーなど使って， 発表準備の続き． しゃべることを整理してみる． 1200 までに出ればよいので テイブル・椅子の完備してる室内で仕事する．
• ThinkPad は順調． なぜか HappyHacking Keyboard Lite2 (黒) を持って来たので， そいつをつなげて使用． TP560E 本体の英語鍵盤は壊れたので いまは JIS なやつになってるのである．
• 1130 部屋発． 「地球の歩き方」にはカナダではチップを支払う習慣， とあるのでそういうもんかと 1 CND の心付けを残す． チェックアウト． 税だの何だのがついて 116 CND になる． 消費税 15% は出国時に書類出せば返環してもらえるらしいけど， 面倒なのでやめ． 空港までのマイクロバスを呼んでもらう． 外は晴． 気がつくと， 道路脇は Abies だらけだ．

[Comfort Inn Aeroport] 値段のわりには良い宿でした (比較対象: 日本の同じようなホテル)． Abies らしき樹木がまわりに植えられている． バス待つあいだつらつらと眺めてたんだけど …… Abies PipeTree はまだまだ似てないねえ．

• 1140 ComfortInn 発． 5 分で Dorval 空港． 無料バスなんだけど運転手氏に 1CND．
• 空港内の売店をのぞいてまわる． うーん， 文房具は売ってるけどトランスペアレンシーに書けるような 油性ペンはないな． けべっくの道路地図を 10 CND ほどで買う． Burger King の Whopper なる懐かしくもぢゃんくな 昼食を取りつつ地図を眺める． 現在地だの行き先だのの位置関係がわかると ココロの平和が実現するのである．
• 1300 に集合， ということだったんだけど， 場所がよくわからなくて到着ロビーをうろうろ． 同じくうろうろしてた人物に 「君，樹木モデリング会議の参加者か?」 と聞かれる (なぜわかったのだろうか)． のちほどの自己紹介によると UC Davis から来た Tedd DeJong さんという人であった．
• DeJong さんにバス発着所にいてもらい， 税関出口周辺をもう一度さがすと モントリオールの大学院生らしき人をよーやく発見． 全員合流， といっても外から来たのは私も含めて 4 人だけだったのだが． 簡単な自己紹介など． 低温研の石井さんをよく知る Kim Brown さんという人がいたり．
• 1325 Dorval 空港発． R15 を北方に進む． 道の横に Abies 多い． うーむ． 1425 Val-Morin という村のさらに奧に 今回の会場というか隔離場である Far Hills Inn に到着．

[Far Hills Inn] ここに樹木モデリングな人たちが集まる．

• 建物の前に梅木さんが． 昨晩は Marty Lechowicz さん宅に宿泊し， 今日は車でいっしょに来たんだけど， その車の鍵が見つからなくなって 荷物出せない状態とのこと (しばらくしてから鍵が見つかる)．
• チェックインして， 部屋さがしで道に迷ってまたフロントにもどったり．
• 夕方まで発表でしゃべることの整理． あまりはかどらん．
• 1730 ごろ， 部屋の外をうろうろしてると， 梅木さん・菊沢さんにばったり会う． 梅木さんの部屋で前回の樹木モデリング会議の資料など 見せてもらいつつモデリング談義．
• 夕食の時間が始まっていたので， その 3 人に菊沢さんの奥様加えて Far Hills Inn のダイニングルームに． 90 分ほどかけておいしい夕食をいただく． しかし独房群生活が長いためか， 日本語会話もますますうまくできなくなっている．
• 食後に registration があり， 要旨だのもらう． 東北大農学部から来られた院生の上野さんと話す． その先生の清和さんも見える． 今回の日本人参加者は以上である．
• Registration で welcome cocktail の bar タダ券もらったので， トマトジュース飲む． 何人かと話して， 最後にフィンランド人たちのテイブルに座ったんだが …… なかなか話がすすまない． みんなしてぢっと沈黙を守れる， というのが北欧ふうなんだろうか．
• じつは私の前に座っていたのが， かの LIGNUM プロジェクトの主要メンバーのひとりである Jari Perttunen さんだったのだけど， 当方は日頃の不勉強がたたってそうとは 気づかなかったのである． まぁ， 会議は日曜日まで続くのだし， いろいろと話す機会もあるかも． しかし， あまりしゃべらんヒトなのかも．
• 2230 ごろに急に眠気におそわれたので， そのまま自室にもどって寝てしまった．
• 今日の食卓
  • 朝 (0810): Comfort Inn の「コンチネンタル」ふうと称する朝食． トースト，シリアル， オレンジジュース，コーヒー． 値段 3 ドル (230 円ぐらい)．
  • 昼 (1210): Dorval 空港の Burger King の Whopper． 5.15 CND． うーん， ぢゃんく．
  • 晩 (1900): Comfort Inn の夕食． ムール貝のワイン蒸し． 名前失念の香草いりニンジンポタージュ． 大西洋サケ切り身の …… うーん， ソテーではないしなんだったのか． ともかく火を通したもの． Paris Brest なるドーナツのようなデザート． どれもおいしかった．

2001 年 09 月 28 日 (金)

• 0330 起床． 変な時間に目がさめてしまった． まぁ， 5 時間ぐらいは寝たからいいか．
• 昨日いろいろな人から聞いた話を参考にしつつ， 要旨集を読んでみる …… うう， LIGNUM を先頭に樹木モデリングの世界ってのは おそろしく発展しつつあるねえ． その中にあって PipeTree などはごくごく陳腐というか 「枯れた」技術の集積というべきだな． このあたりは私の文献調査能力の限界によるものである．
• 今回の発表は Lindenmayer-system (L-system) 関連が多いんだけど …… これが今回の会議のひとつの眼目かも， と考え直す． 「いまさら L-system?」 ではなさそうなんで．
• このへんに， ありとあらゆる樹型構造の動的な生成というものを 統一的に記述しうる普遍言語とその文法の追及， というものに対する欧米人たち (などとくくってよいのか?) の執念を感じる． LIGNUM もモデリング記述部を分離した (言語 ``L'' だそうで)， という話が紹介されるようだ． これによってもともとは針葉樹シミュレイターだった ソフトウェアをエンジンとして， サトウカエデ実生の動態まで書けてしまえるらしい ……
• こういうアイデアは誰でも考えるところではあるんだよね． つまり形而下的には， 樹木シミュレイターから どうしようもなく怪しげでいんちきくさい部分と 何度でも再利用可能なところををきちんと分離して， いろいろと使いまわしのきく柔軟なシステムを作りたい …… というのが動機のひとつになっているはずだ． 私なんぞが作ってる三次元計算用虚業ライブラリーも， そういうひとつの努力ではあるんだが …… この方向をつきつめると 樹木動態というか動的な樹型構造生成は何でも記述できる言語， と発展していくのは自然な流れではある．
• とはいえ， 計算機専門家までうまく動員してどんどん開発を進める 先方にはつきあいきれそうにないねえ． 北欧人おそるべし． しかも他の国のプロジェクトでも似たようなのが 開発されてるみたいだな …… 今後は自作コードを保守するにしても， たとえば LIGNUM とその樹木言語 ``L'' でできてしまえることは そちらを使う， というふうになっていくんだろうか．
• ということで， この研究会での PipeTree のウリは何なのだろうか， と再検討してみる． よくわからん． ということで要旨集を読み直す． これだけ読むと皆さんえらく立派に思えるんだよね．
• 夜が明けたのでシャワー使って食堂に行く． 0730． アタマの中の配線がまだ英語対応になってないので， 会話にうまくついていけない．
• 0830 樹木モデリング会議 開始． まずは今回の主催者である Christian Messier (Universite du Quebec a Montrieal) が挨拶． 後から知ったんだけど， 樹木個体だけでなく森林動態なんかも調査してる人である． SORTIE 改造してけべっくの ice storm 撹乱な森林動態を モデリングしたり …… そういうことのできるポスドクを傭うわけね． 同じく主催者である Marty Lechowicz (McGill University，モントリオールの英国系大学) と Pierre Bernier (Canadian Forest Service) も挨拶．
• 研究発表始まる． 質問時間いれて一人 25 分． 口頭発表は二日間で 20 個だけ． 発表者の多くはこの Plant Architecture Information Systems (PIAS) に列挙されてる． 日本人はのってないけど．
• Frederic Boudon (CIRAD)． 樹型構造を記述し視覚化する形式のひとつである MTG と その実装である AMAP/AMAPmod の開発をしてる (リーダーは Cristophe Godin?) Montpellier マフィア の一員である． MTG で樹冠の粗視化を行う計算機よりの話を紹介．
• つぎもフランス人． Jean Dauzat (CIRAD)． リモセンで読んだ綿花畑の赤外線パターンを 三次元樹木モデルで再構築する話． 温度分布から水ストレスがわかるそうだ．
• 予定の順番が変更されて， ここでいきなり Jari Perttunen (The Finnish Forest Research Insititute)． フィンランドの樹木シミュレイター LIGNUM の主任開発者というべきヒトである． 話は LIGNUM の設計変更やって L という Generic Programming 指向な 言語でモデリングできるようになって， L-system なんかもあつかえるという発展の紹介． 話の最中にいきなり C++ な呪われコードを出してみたり …… なんというか実に独特な人物で， Jari が見れただけでもこの会議に参加する価値はあったというもんだ．
• Przemyslaw Prusinkiewicz (University of Calgary)． L-system を研究する計算機科学の先生． このヒトたちが作ってる L-system を演算・視覚化する cpfg だの Vlab というシステム， かなり便利そうに見える． Window$ 用しかないけど， L-studio なるツールとか． L-system な植物の上をいろいろなシグナルがかけめぐる話． さらに上述 L 言語の実装の一例というか， 一種の C プリプロセッサみたいな C+L と L-system の結合にも言及．
• Pascal Ferraro (University of Calgary)． おなじく L-system な植物の話． 「ふたつの樹状構造が似てる」 というのを定量的に表現するために editing distance とゆーのを定義する． つまりふたつの異なる樹型が一致するのに 何回にわたって挿入・欠失・変形が必要か， というのを測定してそれを「距離」としよう， というものである． なるほどー
• Pekka Nygren (University of Missouri)． めりけん大学で教えてるけどフィンランド人である． 地下部のデータを集めており， それを LIGNUM で三次元根っこモデルを作ろう， という話． 根のパイプモデルである．
• 昼飯食ってからポスターセッション． 梅木・上野・清和各氏のポスターもあり． 印象的だったのは Christiane Eschenbach (University of Hohenheim) のハンノキシミュレイター ALMIS ． Abies Pipe にさらにガス交換・貯蔵・地下部を追加したようなやつで， 実測された成長によく対応してるように見えた．
• あと， けべっくの Sherbrooke 大学の人たちがやってた 簡単な樹冠形状のモデリング． f(x,y,z) = [ (x/rx)^(2/n2) + (y/ry)^(2/n2) ]^(n2/n1) + (z/rz)^(2/n1) という関数型を使うと， n2 を変えるだけで円筒→カドの取れた円筒→半楕円球 →とがった半楕円球→三角錐→とがった三角錐が生成されて面白かった．
• 順番がかわって Sylvain Delagrange (Universite du Quebec a Montrieal)． Messier のところの大学院生． Sugar maple と yellow birch の稚樹全体を 被陰して構造がどうかわるか調べたという話． つづいて Eero Nikinmaa (University of Helsinki) がカエデの稚樹を LIGNUM で計算しちゃう話を紹介．
• Kenneth Stadt (University of Alberta)． MIXLIGHT という樹冠生成→開空度計算の自作プログラムの紹介． 林分・群集スケイル． データとの対応がよい． うーん， どうして私の三次元虚業ライブラリは対応まずいんだろうか (そういや， ポリゴン版ではデータとの比較をまだやっていなかったな)．
• Brendan Lane (University of Calgary)． Prusinkiewicz の大学院生． 植物集団の動態モデルである二次元連続空間の点過程を これまた L-system で書いてしまって， つぎにそうやって生成した二次元パターンを 三次元 L-system 樹木で置き換える話． Visualization の技法紹介．
• Pekka Kaitaniemi (University of Turuku)． フィンランドの大学院生． 亜高山 (といっても標高 200-300m だそうだが) の Mountain Beech のモデリング． やはり LIGNUM の改造． なんかパラメーター推定のやりかた変じゃない， といちゃもん質問したら， Logistic 回帰を二重に組み合わせた なかなか巧妙な方式だとわかった． うーむ． でもあとから考えたらやっぱそれで最大成長量を 推定するのはちと変な気もする．
• Mitch Allen． Ted DeJong の大学院生． UC Davis で開発されてるモモの果樹シミュレイター PEACH の紹介 (げ， このソフトウェアって値段がついてる)． ソースからシンク (モモの実とか) に資源流れていくような モデルなんだけど， その流量が節の通導に制限されていたりする． こういうふうに資源移送のコストがあるので， 光のあてかたを変えるとどこに実が成るかが変わったりする．
• …… というふうに一日目の発表終了． 最後に Marty Lechowicz がまとめの議論を司会． Eero Nikinmaa がモデリングが細かくなってキリがないんで， aggregation 考えなくては， というような議論．
• この日は晩飯くったらすごく眠くなったので， さっさと寝てしまった (そして翌朝 0300 ごろに目をさます)．
• 今日の食卓
  • 朝 (0735): バイキング式． シリアル， クロワッサン， パンケイキ．
  • 昼 (1240): 野菜ポタージュ． ハムのメイプルシロップ照り焼き． ピーチパイ．
  • 晩 (1905): マッシュルームサラダ． アスパラガスとブロッコリーのポタージュ． アルバータ牛のサーロインステーキ (でかい!)． ティラミス．

2001 年 09 月 29 日 (土)

• 0300 起床． 朝食まで発表の手直し．
• 0730 朝飯． 快晴． 0830 樹木モデリング会議 の二日目 (今日で研究発表はおしまい)．
• Anna Sala (University of Monntana). 通導とサイズの関係を調べる実測の話． 樹種によってサイズ成長が頭打ちになったりならなかったり， を樹木内の水の流れやすさから説明しようとするもの． 結果いろいろ示されたんだけど， パイプモデルな葉量∝幹の断面積の比例定数って サイズによってどんどんかわったりする樹種があるみたいね (で，高さ成長が止まったりする)．
• Jian Wang (Lakehead University)． 通導の季節変化を測定したって話だったと思うんだけど， このあたりになると自分の準備がかなり気になって ……
• 菊沢喜八郎 (京都大学)． 順次展葉と一斉展葉の利害得失を一次元光分布モデルで計算した， という話． けっこう M$-PowerPoint の派手機能を積極利用されている． あとからこの計算の三次元版について打診された． 開空度ごとき指標は簡単に計算できるけど， はてさて菊沢さんの望む結果になるかどうかは ……
• Helge Dzierzon (Univeristy of Goettingen)． ドイツの大学院生． Scots pine の樹冠を三角錐で表現した 林分モデルによる動態予測． 表現は L-system を使っている．
• Ruediger Grote (Am Hochanger)． もひとつドイツな樹冠モデル． 今度は輪切りの円筒なんだけど， ひとつひとつの円盤がさらに中心から 6 分割されて， それぞれが独立したモジュールとして動作する BALANCE というシミュレイター． 炭素だの窒素だのパイプモデルだのと律義に整合性をとっている．
• 久保拓弥 (独房群)． ということで他ならぬ私． うーん， できは 60 点ぐらい． Marty Lechowitz が縞枯山での Abies の死にかたについて， Risto Sievaenen が Abies PipeTree の他の樹種への 応用可能性について質問してくれたりしたのは助かった．
• (更新情報) 樹木モデリング会議 で使った Abies PipeTree の解説． まだ英語の一部がヘンなままなんですが …… (2001.10.03)
• どうでもいーが， 発表者中 PowerPoint つかわなかったのは 私と Jari Perttunen と Anna Sala だけ． 私は上からリンクしてる HTML な発表システム， Jari は PowerPoint を HTML 化したものを IE で (なんぢゃこれは …… いや，さすがは，というべきか)． Anna は昔ながらのスライド投影． Over Head Projector は会場になかったので， ThinkPad 壊れてたらやばいところだった．
• 私の発表が終ると昼飯． 食後は bush walking ということで， 近くのトレイルを皆で 2 時間ほど散歩． 発表やるとどんどんその質問で話しかけてもらえるので， 自分で話題さがしやる必要もなく気楽ではある． ただし Harry Valentine (今回は発表ナシ) が自分のパイプモデルな樹木モデルについて 何か説明してくれたんだけど， まるで理解できなかったのは 日頃の勉強不足にほかならない． ああ． とはいえ， 他人の仕事をまめにチェックする自分， というのはなかなか想像できん．

[ローレンシア高原すそのの散歩] 快晴． 10 億年ほどかけて平らに削られたゆるやかに 起伏の上は針葉樹・広葉樹の混交林になっている． ところどころに小さな湖が点在．

• 研究発表の続き． Risto Sievaenen (The Finnish Forest Research Insititute)． LIGNUM を拡張して窒素の動態も考慮したもの． あるいは炭素利用の季節変化とか． かの LIGNUM プロジェクトのリーダーは すごく温厚そうな話しかたをする人で常に冷静． だけど新しいものには好奇心を隠さない， という， まぁなんというか良き学者というかんぢでした． この Risto とあの Jari がここまで LIGNUM を 引っぱってきたんだよねぇ ……
• Veli-Pekka Ikonen (University of Joensuu)． フィンランド人だけど LIGNUM ではない Scots Pine モデル． うーむ， かの国の生態学者はみんなモデリングができるか． これまた LIGNUM と同じような詳細さで …… 話としては時間とともに材がどうなるか， に焦点あてたような内容だった．
• 最後の発表． Andre Menard (Universite de Montreal)． D. Canham (今回は不参加) の大学院生? 森林シミュレイター SORTIE における ギャップ形成の影響の評価． ギャップのどちらがわにあるかで明るさがこう， というような話．
• 二日目なので終りの議論もばてぎみ． 晩飯くって Far Hills Inn のバーの周りで 何人かと雑談して 2230 ごろに寝てしまった．
• 今日の食卓
  • 朝 (0730): シリアル． 果物． フレンチトースト． 目玉焼． ソーセイジ．
  • 昼 (1230): 前菜なんだったか忘れた． スズキのムール貝のせ． 果物．
  • 晩 (1910): モヤシの中華サラダ． 野菜ポタージュ． John Dolly なる魚． けべっくは魚介類もうまい． チーズケイキ．

2001 年 09 月 30 日 (日)

• 0600 起床． 明日帰国なのにだんだんけべっく時間にずれてきた．
• 朝食終ってからチェックアウト． 豪華な三食つき三泊で $507， 約 4 万円か． 安いというべきなんだろうね．
• Buisiness Meeting ということで， 次は日程増やすかとか草本モデラーも呼ぶかとかいう議論． Risto Sievaenen さんが欧州における 樹木モデリングのデータ共有・モデリング教育コースを 紹介しておしまい．
• 何人かとモデリング雑談やってるうちに出発時刻．
• 日本人 6 人を詰めこんだ Lechowitz さんの車で 1100 Far Hills Inn 発． 近くの St-Sauveur なる観光地化された村を訪問． 私以外の人々は土産物など購入 モントリオールから多数の人々が来ている． 昼飯もここで食べる．

	[St-Sauveur の教会] けべっくなのでカトリック． もともとこの村はこの教会を中心とした 開拓農村だったとのこと． けべっくはもともと教会の支配が強かったそうで， 地名にもやたらと St-/Ste- といった 聖人の名がつけられている．
	[大衆的な店の標準的な一皿] サンドイッチをたのむと山のように 揚げイモがついてくる． ジャガイモ 5-6 個ぶんか． サンドイッチも巨大だったんで， イモはほとんど残した．

• 1430 SherBrook 通りのホテルで梅木さんたちが降りたので， 私もそこで Marty Lechowitz さんの車を降ろしてもらう． お礼申し上げてそこでお別れ． これから夕方までモントリオール観光するつもりである．
• 梅木さん・清和さん・上野さんも観光するというので それに同道することに． モントリオール地図を熟読しつつ 三人がチェックイン・荷物置いてくるのを待つ．
• 1520 同発． あちこちうろうろしたり地下鉄 (料金一律に $2， なぜか札幌と同じくタイヤ式) に乗ったりして， McGill 大学ちかくまで移動． Indigo という巨大本屋をのぞいてみたり， 学生が多々勉強してるコーヒー屋で休憩してみたり．

	[本屋 Indigo] McGill 大学前の通り． なかなかでかい． 梅木さんにそそのかされて 北米大陸東岸の樹木のハンドブック ($30) を買う． いろいろな樹種の全体像がのっていたんで．
	[McGill 大学] 街なかの大学なのに緑が多い． 大学博物館は日曜日は休み． 裏山に標高 230m ばかりの展望台あり．

• McGill 大学裏山である Mont Royal 公園の階段を登って 展望台にあがる． セントローレンスの河畔都市である モントリオールの全貌がよくわかる． 時刻は 1630．

(ビルのむこうにセントローレンス川があり， そのずっとむこうはアパラチア山脈である)
• 植物をみたりしながら公園山をめぐるルートを のんびりと下降する． モントリオール中華街でビーフンを食って， 他の三人と分かれる．
• タクシー拾って Dorval 空港わきのホテルへ． 市内から空港まで一律 $25 である． 若い運転手氏はひたすらべらべらとしゃべるエチオピア人で， あれこれと説明してくれるのはいいんだけど， しばしば話に興が乗りすぎて後部座席を振り返りながら 両手をハンドルから離して手ぶり交えた熱演となるので， 見ていてはらはらする． 2100 Comfort Inn Aeroport 着． 往路で利用したのと同じ場所である．
• TV の英語放送 (フランス語放送のチャンネルのほうが多かったような ……) などみてるうちに急に眠くなったので寝てしまう．
• 今日の食卓
  • 朝 (0730): シリアル． 果物． フレンチトースト． 目玉焼． ソーセイジ．
  • 昼 (1200): St-Sauveur の Moe's Deli なる店で巨大サンドイッチ． $11． 種類は Park Avenue Sandwitch という 鶏の胸肉とハムと野菜がどかっとはさまれているもの． Lechowitz さんにごちそうになる．
  • 晩 (2000): モントリオール中華街の名前失念店で 鴨肉シナチクいりスープのビーフン． スープは日本でいえば塩ラーメンのごときもの． $6．