ぎょーむ日誌 2008-12-05

2008 年 12 月 05 日 (金)

• 0640 起床． R guru たちを詣でる旅， 二日目． 羽田空港ちかくの宿． 本日は 10 時すぎに横浜に行けばよいだけなので， 通勤時間帯をハズして 9 時すぎにここを出ればよいのだが …… まあ， この宿やすいんだけど， 値段相応ともうしますかカベがなかなかウスくて， いまいちよく眠れなかった． 隣室のイビキとか水を流す音その他あれこれがよく聞こえる． シャワー， 1F ロビーの無料給食． 無料コーヒー．
• Tutorial 予習ということで， R 文書よみなど． もうちょっとのんびりしてもよいのだけど， 何となくオチつかなくなってきたので， 0845 宿発． 0847 京急に乗って大鳥居発． この時間帯だとすでにどの電車もすいていた． 0854 蒲田着． 特急に乗りかえて 0857 同発． 0912 横浜着． みなとみらい線にのりかえて 0917 同発． 0923 日本大通り着． 大鳥居からここまで 470 円． 地下鉄の駅から 3 番出口をてけてけと地上に のぼっていくと会場の横浜情報文化センター． 0930 本日の会場である 7F 大会議室着．
• まだ受けつけ開始まで 30 分もあるので， 窓の外とかながめたりしながら， また R 文書よみ．

[神奈川県庁本庁舎]

なんとなく横浜っぽい風景， ということで． さて， この時点では天気はおだやかなのだけど， 午後になっていきなりの雷雨・突風となった． 瞬間最大風速 27.3 m． 冬山の稜線なみだ．

• やはりこの Advanced R Tutorial のために動員された 中間さん (R で日本語文字をあつかえるようにしてくださった人) が見えたので， R 内の文字コードのあつかいについていろいろお尋ねしてみる． Ripley 御大のおぼしめしとしては将来的には内部 UTF-8 化． しかし実装に関してはぢつはゐんどーづなど売りもの OS のほうが面倒なコトに …… また， R 作図わざ本 関係で気になったのでお尋ねしたところ， たとえば PDF device なら問題なく日本語文字をあつかえるはず， だそうです (とある院生が「ゐんどーづではできない，できない」 と騒いでいるので確認してみました)．

[Tutorial 会場]

こんな会場で． 受け付けで R guru たちに対する「御布施」 15000 円を支払う． 私などはまあサクラみたいな要員として北海道から招集されたわけだが， 意外にも御布施を支払ってでも R tutorial を受講したい， という一般のかたが 10 名弱もおられた …… そして受講してみてわかったのだけど， たしかに， これは御布施以上の価値がある Tutorial でした!

• 1030 より Advanced R Tutorial 始まる． 最初は， Peter Dalgaard さん (使用環境は Linux + GNOME)， R の基本といったハナシ． Peter はデンマークの医療統計学の著名人， Introductory Statics with R (ISwR) の著者なんだけど， すでに何十回もやったであろう R 基礎講習をまた丁寧にススめるかんぢで． こういう基礎的な範囲でも知らないことはたくさんある．
  • table() や xtab は集計に便利な関数だけど， 複雑な場合には ftable() や stat.table() in library(Epi) を使う
  • R で使う y ~ x1 + x2 みたいな記法は Wilkinson-Rogers formulas とよばれる (もともとの WR は y = x1 + x2
  • 交互作用演算子にも分配則: a:(b + c) = a:b + a:c
  • data.frame を型変換しながらコピーするには transform()
  • R 作図は ink on paper model (R 作図わざ本では paiter model)
  • R 作図の中でギリシア文字・数学的記法を使うときは help(plotmath) を参照 (RGM)
  • ordered 型が等間隔な選点直交多項式となってるのは歴史的理由?
• ややあわただしく昼飯時間． ちょっと雨． このあと 2-3 時間後には横浜市は大雨・突風・雷にみまわれることに．
• Duncan Murdoch さん (使用環境は Mac 上の VM でゐんどーづ XP)， R プログラミングの基本といったハナシ． Duncun は Windows 版 R の責任者なんだけど， 「いかにもプログラマー」 なテイストはウスく， 温厚なおじさんというかんぢで．
  • 行列から 1 行もしくは 1 列だけとると vector に退化するけど， matrix のままにしたいときには drop = FALSE を指定 (第 3 要素指定で!)
  • 私は class() と typeof() を同一視していたけど， これはまちがい: R には型とクラスの両方ある
  • R のスコープは environment とよばれているが， これは必ず parent をもつ (root environment 以外は)
  • environment はリストのようにあつかえる …… つまり env$object だけでなく env[["name"]] でもある環境内のオブジェクトにアクセスできる， と質問してみてわかった
  • 関数を定義すると， 自動的に関数内部の environment が定義される
  • 私は apply() や tapply() が好きだけど， with() や by() のほうが記法的にはすっきりしてる場合もある ……
  • data.frame の列名だけでなく， 関数の引数 (argument) も partial matching が許される!: f <- function(xx) は f(x = 1) と呼べてしまう! (危険なだけで利点がないような)
  • 式を評価する前の状態として表示するには deparse(substitute(式))
  • str() で double 型が num となるのは歴史的理由
• Thomas Lumley さん (使用環境は Mac)， 応用 R 作図わざの基本といったハナシ． 野外調査する研究者にはこういう体型のヒトはいないなぁ， というタイプかな． 楽しげに R graphics なハナシを．
  • 良い色勾配を生成するためには RColorBrewer ( RGM の example) を使う
  • 赤・緑の区別がつきにくい 色盲の人に配慮した色セットになっていないかどうかは library(dichromat) (RGM) で調べられる (bluscale() といった関数も含まれる)
  • 「びっしりな散布図」 を見やすくするには hexbin() (これは CRAN ではなく Bioconductor に含まれる) を使う: 六角形の desnity plot に変換される
  • 同じく， 「びっしり散布図」 は色指定のα値設定による半透過化わざも有効 (ただし device は png(), pdf() その他いくつかに限定される)
  • library(ggplot2) の紹介: library(lattice) の対抗馬, つまりもうひとつの library(grid) 世界の高水準作図関数セット
  • library(ggplot2) の独特な記法:

    	time <- ggplot(data, aes(x = Date, y = Ozone))
    	print(time + geom_point() + geom_smooth())
    

    …… といったかんじで + 演算子で重ね描き・ グループごとの分割などを指定する
  • library(ggplot2) は Lee Wilkinson の本 ``The Grammar of Graphics'' (グラフの分類学の本だそーで) にもとづくもので， Hadley Wickham が実装している
  • library(ggplot2) で作れる図って library(lattice) (あるいは coplot() とか) でも作れるのでは? とすると library(ggplot2) の advantage は? …… と質問してみたら， まあそのあたりその二つを比較して， こっちが優れてるとか判断するのは簡単ではないけど， まあそれぞれに使っていくうちにユーザーが判断していくしかないんでは， といった内容の回答でした
• Simon Urbanek さん (使用環境は Mac)， R package 作り + C など native code 使用の拡張わざといったハナシ． Simon は MacOS X 版 R の責任者． これは本日きいた中ではもっともマニアックというか， 巨漢だけどスポーツマン的な Simon というのがいかにも 「プログラミング世界という複雑世界の把握にたけた テンション高く体力旺盛なプログラマー」 といったタイプのヒトで ……
  • ま， 基本は Writing R Extensions manual 読め， ということで
  • package に必要なドキュメンテイション (Rd files) は prompt() や promptPackage() などなどといった関数でスケルトンを生成できる
  • package を生成する前に R CMD check MyPackage とするとありがちなまちがいなどをチェックしてくれる
  • NAMESPACE ファイルの記述: export(), import() で package 内 関数が「外」から見える・見えないの設定
  • ここから下は C など native code (今回はおもに C code を例に) とその interface のハナシ …… これはスゴく勉強になった
  • .C() とかは単純だけど .Call() なんかを使ったほうがいいよ， とのご教示
  • #include <Rinternals.h> すると S 言語オブジェクト一般をあつかう型 SEXP が使えるようになる
  • R API: vector の長さを調べる LENGTH()， pointer をとる INTGER() & REAL()， 要素をとりだす VECTOR_ELT()， その他文字列関連あれこれ， 「なんでも vector」 な R SEXP をスカラー化する関数， C 言語の世界で R オブジェクトを生成する allocVector() & mkString()， メモリ管理 (ガベジコレクション対策) PROTECT() & UNPROTECT() その他あれこれ， さらには R クラスの attributes を操作する関数あれこれ， ……
  • さらにハナシは R の S4 オブジェクトを C 言語で 操作する方向に暴走していく (注: 新しいクラス系である S4 に関するプログラミングは R 内でも めんどう感がつのるものであり， 今日の他の講師はそのあたりのハナシを回避していたわけだが ……)
  • #include <Rdefines.h> を使うと S4 クラスを C 言語内で生成したり操作できる
  • さらに dotted pair list なる Lisp ふうなデータ構造が定義でき (R 内でも pairlist() で定義できる) …… これの使いみちがいまいちよくわからなかったんだけど (あえて言えば name つき vector の代替物?)， 何やら自分で parser & evaluator 利用する場合に関係ありそう ……
  • 最後にこういう native code による R 拡張した場合の packaging の注意など
  • 「native code のディバッグはどうするの?」 と質問したら， それは簡単 R -d gdb foo.R でいいよ， とのこと …… これは便利だ! (swig 的だ …… ぎょーむ日誌 2006-02-24)
• 1755 終了． 暴風は終息したけど， まだ雨とかふっているのでタクシーに分乗して， 「講師の皆様おつかれさまでした」 懇親会の店へ．
• いろいろと楽しくお話して (Simon がまたプログラマー的暴走ぎみともうしますか 「iPhone 版 R を作るには」 ハナシなどもあって)， 2 時間ちょいでおひらき．
• 講師の皆さんをタクシーで送りだし (Simon は iPhone の Google Maps 見ながら歩いて消えてしまった)， 1955 みなとみらい線の馬車通り駅発． 2000 横浜着． 2007 京急にのりかえて同発． 2019 蒲田着． なぜかしら蒲田は混んでるな? 2025 羽田空港いきに乗って同発． 2030 大鳥居着． 2031 宿着 …… R まにあっくハナシ in 敵国語の大量聞きとりで アタマばてばてほわいとあうと ……
• [今日の運動]
  • うんどう休養日， つづく ……
• [今日の食卓]
  • 朝 (0710): 宿の無料給食．
  • 昼 (1220): Tutorial 会場 1F の， ちょっとおしゃれ系ともうしますか 女性客優越な店であわただしくスパゲッティーランチ 1000 円． お店の入口で行列を形成しておられるヒトたちの 視線がコワくて， ですね ……
  • 晩 (1800): 関内近くの 月 でご接待晩飯． 魚・豚肉料理いろいろ， なかなかおいしかったけどアタマばてばてで あまりよく味わえなかった (しかし値段はそんなに高くなく， 11 人合計で 6 万円弱) …… ここもまたおやじ客少なく女性客おおい系の店で， ちょっとコワかった．