ぎょーむ日誌 2009-10-30
2009 年 10 月 30 日 (金)
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東京出張最終日.
0740 起床.
ねむい.
朝飯.
コーヒー.
朝飯.
ぎょーむ日誌かき.
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0930 宿発.
0950 ごろ統数研についたのだが
……
「フィールド生態学と統計数理」
研究集会,
すでに始まっていた.
本日は 0930 スタートだったか.
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最初は統数研の田中潮さんのネイマンスコット過程の最尤推定の話,
不幸中のさいわいで,
これは以前に一度きいたことがあるので,
最初を聞いてなくても何とかついていけた.
ひとことで言えば,
点の分布を見るのではなく,
点間の距離の確率分布をつかって尤度関数を書いて
パラメーター推定するというもの.
散布カーネルが正規分布なら簡単だけど,
そうでない場合は統数研すぱこん 2-3 日うごかす必要あり,
というもの.
後半の話はさらに二種類の「親」が混在している状況をあつかうもので
……
種間関係のパラメーターがうまく推定できないので,
最近接個体までの距離の分布の関数を使ってこれを推定してやる,
という田中さんの新しい工夫が紹介された.
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次も統数研の上野玄太さんの話で,
内容はデータ同化入門.
これまた,
すごく初歩的なところから始まる丁寧な内容だったんだけど,
おもしろいのはその説明のしかたが
「物理方面出身の演繹至上主義な環境シミュレイション屋さんあいてに,
統計学だって役に立つんですよ,邪悪じゃありませんよ」
といった方向性のものだったあたりで
……
私が以前いた地球ふろんちああたりの聞き手あいてに苦闘されたんでしょうなぁ.
内容はシミュレイションやりながらパラメーター推定しましょう,
システムノイズと観測ノイズはきりわけて,
また観測ノイズだからといって「何もかも測定誤差」とか考えないように,
といった説明.
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システムノイズと観測ノイズの識別が困難な場合はどうしたらよいんでしょう,
と質問してみたんだけど,
まあその二種類のノイズの比みたいなものを考えましょう,
といった回答でした.
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で,
午前最後がまさにその JAMSTEC な伊勢さんの話で,
植物個体内の炭素分配 (葉・その他地上部・地下部)
が全球の生産力の予測を大きく変えるようです,
といったハナシ.
ハワイにいる伊勢さんの研究仲間の最近の発見なるものがきっかけのようで,
それは 地下部呼吸量 (これがなかなか莫大なモノらしい,糖類を菌にばらまくとかで)
は GPP に比例するそーで.
これは地球上のあちこちのデータのメタアナリシスみたいなもので,
つまり暑いところ (GPP たかい) と寒いところ (GPP ひくい)
でも GPP に対する一定の rate で呼吸してます,
といったハナシ
……
うーむ,
つまりデータ同化以前にモデルの部品がどうなってんのかよくわからん,
というハナシかもしれないし,
統計学的な手法を使えば多少はマシかもね,
といった方向になるのかもしれないし
……
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昼飯.
森林なヒトたちとちょっと雑談しつつ.
環境研の林岳彦さんから WinBUGS & 生態リスク評価の論文もいただきました.
つぎの生態学会大会 (東京)
で 生態リスク & ベイズ
なシンポジウムを開催されるそうです.
シンポジウムでベイズってのもすごい世の中になってしまったことだなぁ
……
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午後はまず北大の平田さんが卒研のときにやった研究紹介で,
天売島のウトウ
の巣穴ちかくへの着地のタイミングが各個体ばらばらなのか,
それとも皆で「いっせーのーで」と同時着陸したがっているのか,
という調査.
同時着陸するとカモメのたぐいに餌を横どりされないかも
……
ということで,
「着地間隔の時間」
データをみるとややガンマ分布っぽい気がする
(ランダム着地なら指数分布).
しかしながら,
これは「観測中の着地密度は一定 → 指数分布」
というハナシなので,
「帰巣が集中する時間帯」とかあったりするとガンマ分布になるよね
……
とゆーことでベイズモデル化とか必要でしょう.
統数研方式の平滑化 & 最尤推定 & モデル選択でもいいけど.
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次は東大の森長さんで,
伊吹山の高所・低所それぞれのシロイヌナズナと同属のハクサンハタザオの生態型の分化が,
機能的遺伝子のちがいで説明できるんでは,
という話
(生態学会大会の要旨).
武器は AtMap1
なるシロイヌナズナの配列 5 万弱をしらべられるマイクロアレイ解析ツールで,
高所型・低所型でいかにもそれっぽい機能遺伝子の相違が得られたようです,
というもの.
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このへんのハナシを聞くのは初めてなんで,
おどろくことばかりなのだが
……
最後にこの集会の趣旨にそった統計学的な疑問点もいくつかあげられた.
たとえば,
登山道にそってサンプリングしていくと,
注目している遺伝子頻度が低所 → 高所でゆっくり変化していく
ようだけど,
この様子をうまく表現できないだろうかというものがあった.
うーん,
そんなのはそういうふうに U 検定とかやるんじゃなくて,
まだロジスティック回帰とかのほうがマシでしょう,
などとコメントしてみたのだが
……
あとから考えてみればこれはけっこうマヌケな回答というべきで,
登山道にそってサンプリングしてるんだから空間構造・空間相関
かんがえなきゃダメぢゃん
……
階層ベイズモデルで空間相関をあつかいましょう
なる解説文の著者とは思えぬマヌケさだ.
職業的うそつきの看板をかかげる身としては,
もっと首尾一貫したうそをつき続けなくては
……
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次は千葉大の林亮太さんで,
ウミガメ一個体にくっつく
カメフジツボ
数は個体によってばらつきが大きい
(集中分布する) んでしょう,
というデータの紹介.
飼育実験下ではそんなにばらつかないので,
カメがどこを旅してきたのかに依存するのでは
……
という難問.
こりゃー,
難しいですねえ.
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まだあと一件ハナシがあったんだけど,
そろそろ時間的に危なくなってきたので,
撤退することに.
島谷さんほかに御礼と帰りのあいさつ.
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やっぱり今回の研究会のスゴさは他ではありえない発表者の多様性で,
そもそも島谷さんが「男はつらいよ」の寅さん
のごとく
(彼と島谷さんは世界認識に共通したものがあるかも)
日本全国,
たいしたアテもないまま旅から旅を重ねて面白そうなヒトたちと友人になって
……
のひとつの結果ですな.
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私などはここしばらくは特に研究室ひきこもりな生活なのだが
……
まあ,
研究者の研究スタイルはその性格にしばられる,
ということで.
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1550 ごろ統数研発.
立川まで早足で歩く.
1613 JR 立川発.
1652 新宿着.
山手線にのりかえて
……
なんだか事故によるダイヤの乱れで朝の通勤時間帯なみのこみぐあいだ
……
1655 同発.
1717 品川着.
京急にのりかえて
1722 同発.
1745 羽田空港着.
Suica で支払ってるんで途中の運賃わからないのだが
……
一昨日の夜に新宿で 4500 円ほどいれたのに,
すでに残額 1700 円ぐらい.
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自動チェックイン機で登録作業して,
ちょっとヒトいきつく.
ここで晩飯たべる時間ありそうだな
……
と第二ターミナルをうろうろしてみたのだが
……
なにしろ金曜夕方ということで,
どこもかしこも混んでいる.
私は高密度なところは苦手なので,
ANA カウンター群むかい斜め上の一番はずれの
セルフな店に隠れてカレーを食べました.
空席ばかりは豊富であり
……
ま,
味ではなくココロの平和を.
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1830 ADO 23 便の B767-300 に搭乗.
今回はいちばん後ろのほうの席.
1745 定刻どーりに taxing 開始.
ぐったりしたるうちに
2005 着陸.
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2034 快速エアポートにのって新千歳空港発.
Suica は JR 北海道でも使える
……
Kitaca も JR 東日本で使える (入金もできる) わけだが,
地下鉄・私鉄などには使えないので,
Suica を買った次第.
とはいえ,
来年の 2 月
まで東京とかにはいかないけどね.
あ,
来年 3 月は駒場で生態学会大会か.
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2130 帰宅.
ぐったり.
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そして ThinkPad がまた激しくぶっこわれたので,
次の日いちにちを費やして修理しなければならぬことに
……
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[今日の運動]
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[今日の食卓]
- 朝 (0750):
宿の朝飯.
今日は白米を食べましょう,
という方針だったのだけど,
なぜかしら「朝からカレーを」
とススめていたのでそれを食べてしまった.
とはいえ,
眠気をふっとばす激辛カレーのたぐいではなかった.
- 昼 (1250):
発表会場でこんびにおにぎり.
- 晩 (1810):
Live Cafe というところで,
黒ゴマかつカレー.
あ,
朝もカレーだったな.