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個体差など random effects の重要性
個体差・ブロック差・地域差・年差などがばらつきを増大させる.
さらに重要なのは多くの random effects は (とくに野外調査では)
測定困難または不可能であり,
われわれはこれらを統計モデリングの中で現象論的に扱わねばならぬことも多い
(つまり混合モデル・Bayes モデル).
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データの階層構造
生態学的データ (……に限らないのだが)
の特徴のひとつは階層構造の重要性であり,
地域差の中にブロックの差があり,
さらにブロックの中の個体間にも (さらに植物では個体の中の部品ごとの)
ばらつきがあって,この階層性を考慮して random effects
を扱うことが重要である.
これが階層 Bayes モデルの導入の必要性につながる.
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因果関係が不明
(とゆーか,見てないときにいろいろ事件が連鎖する)
生態学の経時調査では観測と観測のあいだに生じる
「連鎖的」な事象が重要であり,
これが観測される時間的・空間的なパターンに大きな影響を及ぼす.
具体的には,たとえば一ヶ所で生じた事象 (撹乱・捕食・寄生・病気発生) が
短期間に周辺に波及するような場合,
次の観測において空間的に集中してその事象が生じたかのように見える.
このようなときに「引き金」になった事象と
それが周辺に波及していく事象を区別することはこれまで困難だった.
近年の隠れマルコフモデル・MCMC 計算・EM アルゴリズムは
こういった問題を解決するべく整備されてきたとも言える.