ぎょーむ日誌 2001-09-17

2001 年 09 月 17 日 (月)

• 0730 起床． 寝たのは 0200 ごろ． 週末時差というほどでもないけど， 眠い．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯．
• 0750 自宅発． 曇り． 特急に乗って 0802 京急平和島発． 普通に乗り換えて 0830 京急上大岡発． 0845 研究所着．
• Abies PipeTree の小改良． これまでのだとわりとすぐに死にそうなところにも 資源をまわしていたんだけど， これをやめる． なかなか死にそうにないところ …… つまり枝次数の高いところをほど優遇するようにする．
• 昼飯食いながらもいろいろ実験してみたんだけど …… 1-2m 幅ぐらいの周期境界独房に 1 個体が 50 年ぐらい 生残できるようなパラメーターの組み合せを 探索してるんだけど， なかなか見つからん． 多少の延命はできるけど， 50 年もたずにクラッシュ．
• 1600 ごろまでの試行錯誤まとめメイル．
  • いろいろ実験してみて，周期境界の 2m^2 ぐらいの領域 に 1 個体を押し込めようとしてたんですが (「最後までいっても 10 平米 5-6 個体残る」ということだったんで)，50 年程度生存さ せるにはなかなか妙な工夫が必要になってくるようです．
  • 大きくなるまで生き残った個体にとっては「区画」内の上下間の競 争うんぬんはもはや重要ではなくなり，「隣」にいる同じようなサ イズの他個体との干渉が影響してくる，という想定です．
  • で，いまのような周期境界条件だと「隣」は死んでくれないので， 側枝をどんどん削られても同化部・非同化部を維持しなくてはなら ないわけです．
  • そこで少量の同化部でも多くの生産を行うために，同化部分のパラ メーターを調整することになるわけです．今回は pmax を変更して みました．
  • 最初 pmax は 16g という値だったんですが，これはすさまじく生 産過剰なので大幅に下げる必要ありました．縞枯山のしょぼい Abies を再現するにはせいぜい pmax = 2.5 ぐらい，が妥当な数値 のようです．ところがこの値では 2m^2 の座敷牢には耐えられなく て 30 年までいかずに自壊します (じつはもっと広くてもダメ)．
  • ここで pmax を高くすると側枝をどんどん削られるような状況でも 長生きできるとわかってるのですが，生長そのものが良くなってし まい貧弱 Abies が再現されない．
  • ということで，(いざというときにそなえて) たくさん「光合成」 させたいけれど，あまり伸長・肥大生長してほしくない …… とい うことで，例の先端形成に関する構成呼吸ぐらいしか調整できる部 品がないわけです．
  • この構成呼吸は提案では例によって「一定の比率で ……」 というやつでしたが，これでは伸長・肥大の抑止には役に立たない (投入された資源量に線形に応答するんで)．ここで前に言ってた 「資源変換速度に比例した」全体として非線型に増大するコストと いうのをいれると，ようやく貧弱 Abies のような形態が再現され てます．
  • これでめでたしめでたしかというとそうでもなく，こんどは集団状 態にしたときになかなか死なない，という弊害が生じているところ です．
  • おまけに樹高がそろって面白くない．これは前の PipeTree と同じ で，どの個体も Vertical Main に資源を過剰に集めるのですが(こ うしないと横方向にどんどん拡がり三角錐樹幹にならない)， そのせいでこの leading な末端がどの個体でも同じように伸びて ばらつきがなくなる ……
  • やはり個体ごとのパラメーターの違い，というのも必要かもしれま せん．
• もはや独房内 BookPC でちんたら計算する気にもならんので， 通路むこうのサーヴァー室なる部屋に鎮座してる Dell RedHat マシンを呼び出して計算させる． 1GHz なので多少は速い． しかし上述のように 潜在生産力の高くて死なない樹木たちばかりなんで， 計算には (計算者にとって) 死ぬほど時間かかる． ちょっと屋上で体でも動かすか．
• 独房群屋上， 曇天． かろうじてランドマークタワーが見える程度． ストレッチやってるうちに 「もうちょっと光感受性を高くしてみるか」 という策を思いつく． こういう強引な手口はあまり好きではないんだが．
• あー， 変更してもダメだね． 死なない Abies 作ってしまった． だめだだめだ． だめだだめだは工夫がだめだ．

[生長遅いシラビソ] 構成呼吸というところに 「資源変換速度に比例するコスト」 というのをいれて各末端があまり伸びないようにしてる． いつ見ても思うのだけど シダ植物みたいになってしまう． 樹木造型のセンスがないのかなぁ． とはいえ Abies ってどんな生き物なのか 全体像を知らないんだけど．

• と困ってたら甲山さんより提案メイル． 非同化部の呼吸減じる「逆数式」?! 呼吸速度が「直径」に反比例? ひゃー， 私はこのテの生態学における「わが国独自」の「逆数式」 のたぐいはダメなんですよう． ただでさえこの Abies PipeTree はソチラ方面の世界に 片足をいくらかつっこんでるのである． いかんいかん． これ以上はヤバい方向にすすみたくない．
• しかし甲山さん提案の非同化部 (ってのは幹みたいな地味な部品の総称です) の呼吸を低くする， というのは良い策のように思える． けっきょく個体が自滅するのは他者との競争というより， 己の内側にある弱さに敗けているのである． うむ． いやそうじゃなくて資源獲得に直接寄与しない 非同化部を限られた同化部でもって養わねばならん 「高齢化問題」だからね． しかし逆数式はやだやだ． ああ， どうしよう．
• 虎穴にはいらずんば虎児を得ず． 件の式がいわんとしてることは何か． 要約． サイズがでかくなっても呼吸速度はそんなにでかくはならない， いやむしろ単位重量あたりは激減する …… ふーん， 理由よくわからんけどね …… だったら， 極端には呼吸速度は事実上ゼロになるわけだな． これならば怪しげな数式は不用だ． 定数モデルだ．
• ゼロ呼吸実験してみる． 1.4m 四方の 2m² の周期境界壁で囲われた 独房を用意． 昨日の晩まで使ってたパラメーターセットにもどした Abies PipeTree を 1 本だけ植える． 樹冠のふちが壁にあたるとどんどん削り取られる …… おお， これでもこの狭い領域だけで 50 年生まで難なく育った． やはり「高齢化問題」だったのか．
• いままで使っていた 0.25 g/g/year という呼吸速度は， 縞枯山の 15 年生プロットで計測されたものらしい． したがってこの値は仮題である可能性がある． ということで 0.05 ぐらいにしてみた． これでも 50 年生までは維持できる (最後のほうはあやしかったが)．
• ということで提案者の甲山さんに， (非同化部の比率高くなる) 大径木での維持呼吸が問題になるんで， 定数モデルだけど維持呼吸速度を低いと仮定する， という方向で進める， と報告メイルしてから帰る準備． その後， それでやってみたら， というようなお返事いただく．
• 外はもう真っ暗． 1830 研究所発． お， 独房群上空を戦闘機が航過． いや自衛隊の T4 かしらん? なんだかあわただしくなってきたなぁ． 普通に乗って 1842 京急杉田発． 快特に乗り換えて 1850 京急上大岡発． 普通に乗り換えて 1915 京急川崎発． 1930 帰宅．
• 晩飯食いながらラジオのニュース聞く． 横須賀にも艦船だの原潜だのが寄港したり出港したり， ということらしい． 連中が戦争を始めたら太平洋横断はやりたくないなぁ． とはいえ， 主犯ということになってる人物の身柄が引き渡されても， それはそれで危ないような気がする． 釈放を求めてハイジャック， とか．
• 晩飯食ったあともいろいろなパラメーターセットで PipeTree 動かしてみる． よーやく挙動がわかってきた …… ような気分になるのはまだ早いか． しかし， 来週の水曜日には出国なんだよね．
• 維持呼吸が 0.05 g/g/year で 80 年生まで生きることわかったけど， これってもうほとんど死にかけ． もしこれで集団シミュレイションうまくいかないなら， もう少し「息をひそめて」みよう．

[狭いところで 80 年育ててみたものの] 面積 2m2． ほとんど死にかけ． 樹高 576cm． 本ものよりかなり低い． 根本直径約 9.4cm． パラメーターセットは これ ．

• けべっく出発まであと 9 日．
• 今日の食卓
  • 朝 (0735): 米 0.6 合． 昨晩の残り． オクラ納豆． タマネギ・シイタケ・煮干の味噌汁．
  • 昼 (1215): 弁当． 米 0.7 合． 昨晩の残り． シシトウ・ヒラタケのウスターソース炒め．
  • 晩 (1950): 米 0.7 合． 味噌汁の残りで雑炊．