ぎょーむ日誌 2001-09-13

2001 年 09 月 13 日 (木)

• 0700 起床． 6 時間ほど寝た． 今日はもうちょっと早く寝よう． 眠い．
• 朝飯・弁当の準備． 朝飯． シャワー． コーヒー．
• 0740 自宅発． 曇． 雨降るかな? 特急に乗って 0754 京急平和島発． 普通に乗り換えて 0820 京急上大岡発． 0835 研究所着． こちらはやや晴れ．
• 周期境界条件な計算チェックの続き． 昨日の晩に挙動がへんだと思ってたのは 単なるファイルへの出力書式問題だとわかった． ふう．
• 午前中はこれと似たようなバグをつぶしてまわって， ようやく Abies PipeTree を独房に隔離することに成功． 昼飯の弁当食ったんで， でれでれとその概要を述べつつ午後の作業につなげていく．
• まず， 樹木を取り囲むカベのうち X と Y 方向のものは 「周期境界条件」 とする． 昨日の「ぎょーむ日誌」にも示されているように， カベをつきぬけてしまった枝は 反対側のカベから出てくる， とういアレである．

[「どこでもドア」な世界] 真上からの見おろし． あとから自分で参考にするために 境界条件をメモしておく． xyz_min = { -10, -200, 0 }, xyz_max = { 200, 200, 500 }． root_pipe_bundle の xyz_root は { 0, 0, 0 }．

• さて， この XY カベをどんどん狭くしていくとどうなるだろうか． 自分が東側に伸ばしていった枝が突如として西側から出現し …… ということで， 狭いところに閉じ込められた樹木個体は自分自身の高密度な 枝によって著しく暗い環境に閉じ込められることになる．
• 書き忘れていたんだけど， このような周期境界なワクを導入した理由は， たった一本ぶんの樹木の計算をやるだけで， あたかもその樹木がぎちぎちに詰め込まれた高密度な 森林で成長してるかのような状況をシミュレイトするためである．
• いやもちろん， PipeTree は 100 本でも 100 万本でも 同時に個別に育成することできますよ． ただし CPU と メモリが許容するかぎりにおいて …… まぁ， メモリけちけち作戦が効を奏したから たぶん 10 本同時ぐらいは難なくできると思うのだけど， 単木に比べて計算時間が 10 倍近く必要とされてしまう． で， 残り時間も少ないことだから， こういう便法でもって高密度個体群の「暗い」環境に 対する個体の反応を調べよう， そういう作戦である．
• さて， 200cm 独房と 20cm 独房で比較してみたんだが ……

200cm × 200cm のワク 10 年生，樹高 227cm	20cm × 20cm のワク 10 年生，樹高 241cm

• 20cm ワクのほうでは枝はどんどん死んでくれる． それはいい． しかし図でみるかぎり， すかっと枯れ上がってくれないなぁ．
• ところで， 上の図で 「こっちの 200cm ワク，ゆがんでんじゃないの?」 と見たあなた， ある意味正しい． しかし実はこれらの図は「見おろし」てるんじゃなくて， 地面の中から「見上げて」いるのである． いや， とくに意味は無いんですけど …… 蛇足な捕捉をもうひとつ追加すると， どちらの樹木もワクの中心にぴたっとアシをつけてるわけでなく， 5cm ほど浮遊している (計算の都合上そうなってる)．
• 200cm ワクと 20cm ワクで個体内光分布を調べてみると， これはやはり狭い独房に閉じ込めたほうが 圧倒的に暗い．

[個体内明るさ分布] 横軸は開空度ごとき量 (0 がまっくら 1 はとても明るい)． 縦軸は頻度． 青線は 200cm ワクで 赤線は 20cm ワク． 狭いところに無理矢理つめこんだほうが， とうぜん暗い．

• 上の図に関するてくにかるメモ: PipeBundle の先端を「圏内」に入れるようにしても， 「目」は「圏外」に出ることある． しかしかまわずに「視線」一斉射撃してよい． というのも， 今回は X 方向 Y 方向ともに周期境界条件にしているからである． これは「内」からだけでなく「外」から飛んでくる 視線に対しても同じように動作する． つまり北の外側から飛んできた視線は内側の南カベ手前に 「ジャンプ」させられ， すぐに北の内側に再度ジャンプさせられるから． よけーな計算増えるけど， とりあえず問題ない．
• さて， なんか明るさ暗さへの反応が良くないような気がするな …… ためしに 20 年まで育ててみた． おお， これはさすがにかれあがってる．

[20 年生 20x20cm] 下のほうの枝はばたばた死んでくれてるようです． (左図の 拡大 )

• どうもゴミのような葉群が宙に浮かんで残ってるような気がする．
• で， 比較のために 200cm ワクでも 20 年育成に 取り組んでみたんだが …… すっげー時間かかる． メモリ食いつぶしが最小限なのはエラいとは思うけどね． しかし， 遅い． 20cm ワクだと 1 分ぐらいで 20 年までいくんだけどな．
• あまりに遅いんでモデル変更． あまりにも細い枝までポリゴン化するのはやめ． 再始動． うーん， 速くはなったけどまだまだだねぇ． 20 年育てるのに何分かけるつもりなんだ． しばらく放置 …… げ， 34 分もかかってる． するとわずか 10 個体の個体群を 20 年育てるのに 5 時間以上もかかるのか． まぁ， 集団状態にするとお互いに枝の殺しあいをやるから， そのぶん計算は速くなるだろうけど．

[20 年生 200x200cm] これは何もない野原に孤立してるような状況． 下の枝にも光があたるので生き残ります． (左図の 拡大 )

• ということで， 20 年シミュレイションであっても 90 秒で終了する 20cm ワク， というのがかなり貴重であることがわかると思う． 競争でばたばた死んで行くという状況も計算しないといけないので， もうちょっとパラメーター調整とかやったら 集団シミュレイションもやらねばならない． サーヴァー室の RedHat Linux な Dell 使ったり， 一晩中計算させる， というふうになるんだろな．
• そのような調整に入る前に …… そもそもあの危ない北米大陸の不穏なけべっくくんだりまで 私なんぞが出かけなければならなくなったのは， なぜかしら甲山さんの代理発表なわけで …… その甲山さんがすでに 3 月に提出しちゃった vaporware 要旨で 何を発表すると述べてしまっているのか． このあたりを今ごろになって点検している．
• 演題は ``Population-level processes of overcrowded subalipine fir stands, ... (長ったらしいので略)''． overcrowded か． やはり枝だけでなく樹木個体ごと死ぬような状況なんだろうね．
• いろいろと読んだり作図してるうちにバテてきた． 時刻 1600． ちょっと独房群屋上に上がるか． 上半身も下半身もなんかこう血行悪くて 肩こりになったりしてるのである． 一日一回ぐらいストレッチやるとマシになる， という気分になれる． 今日は曇天． 独房群のまわりではおそるべき勢いで よくわからぬ工事が進捗中で， 深い穴掘ってはそのそこに建物の基盤らしきものを作ったり， 今日は 4 階の上にあるこの屋上よりさらに高いクレーン車が 何かつり上げようとしてる．
• 独房区画にもどる． 集中力がぷつぷつと途切れつつも， 「どういう結果出してみせれば良いのか」 整理しよう， としてみる． ああ， しかしぷつぷつ．
• 弁慶のカンジンチョウに「得られた結果としては」 と書いてあるのは ……
  1. こみあいによるサイズ階層化
  2. 自己間引の幾何学的ルール
  3. 太さ⇔樹高の時間変化
  4. 光分布 → 密度効果
  5. 生産力向上 → アロメトリーの変化
  こんなところか． さて， 計算できそうなのは， どれとどれだろうか．
• 甲山さんにいくつか質問するメイル出してから帰る． 1755 研究所発． 普通に乗って 1810 京急杉田発． 特急に乗り換えて 1820 京急上大岡発． 1900 帰宅．
• 晩飯食ってでれでれしてたら， 長谷川宣教師殿 から間違い御指摘メイルいただく． 昨日の「ぎょーむ日誌」で 「じつはこれって，四半世紀前に 及川さんが大型計算機でいろいろ工夫 してたころからまったく進歩がない」 と書いてたところで， 自分のサイト内へのリンクが切れてたのである． いやはや．
• 今晩はコード書きはやらずに雑用． まだ PipeTree が動きはじめたばかり， さらに北米大陸やばそう， ますます行きたくないけべっく． その宿泊予約である． むろん樹木モデル屋などという怪しい人たちは 州の行政からの指導によって 会議の期間中は市街地から離れたひとところにまとめて隔離される． この間の宿泊については主催者側に命令されて すでに予約したんで問題ない．
• ところが飛行機発着時間の都合とやらで， 私は会議の前日にモントリオールまで送検され， さらに会議終了した次の日まで拘置される， となってしまった． 二晩寝る場所をさがさねばならん．
• 考えてみれば日本国内においても Yahoo! Travel みたいな安直な検索システムでしか 泊まる場所を見つけられないんだから， 海外宿泊もそういう安易なやりかたで探すことにしよう． まず日本の Yahoo! だがこれでは海外の宿泊は取れない．
• つぎにカナダの Yahoo! Travel の検索システムを使ってみる． えーと， モントリオールの Dorval 空港のコードは YUL で， この近くを …… おお， 空港からの距離で sort されたリストが．
• 一覧に列挙されたひとつひとつを吟味するのもイヤなんで， 一番近い Comfort Inn 系列の宿を選ぶ． 設備とかについて略号で説明されてたりして， ですねえ． えーと …… ホテル関連の略号ペイジを探して解読する． GTD は guaranteed のことか． HTL はホテル …… Rating: Park and Fly， いくら調べても明確な定義文が 見つからない． しかし， 説明から憶測するに「蝿といっしょに公園で野宿」 というニュアンスではなく， むしろ駐車場使い放題 & 空港まで無料送迎， のことを表してるらしい． とはいえ空港まで 2000m だから イザとなれば歩けぬ距離ではない． なぜイザとなったら歩かなければならんのか よくわからないけど．
• さて， いよいよ予約を入れようとすると， Yahoo! Canada にユーザーアカウント登録しろとか言ってきて， ああ面倒なことをと思いつつフォームを埋めて submit ボタン押すと最後の最後になって (いや最初の細かい字の契約書に書いてあったのかもしれんけど)， US か Canada に bill statement が無いとダメ， と切られてしまった．
• 悔しいので， こうなったら意地でもその Comfort Inn Aeroport というのに泊まってやる． 検索エンジンを回す． そこに直接かけあうか， あるいは …… あった． ネット上の宿泊予約システムは他にいくらでもあるわけで， 今回は こーいうところ からくだんの「イザとなったら歩いていけるところ」 を予約した．
• これは SSL なペイジから 住所氏名にクレジットカード番号を送ったりするだけ． 一晩 99 カナダドル．いま 1 カナダドル 76 円らしいから， 7600 円ぐらいか． 税金 15% 取られるらしいけど．
• とりあえず往路のぶんだけ． 明日あたりにその確認もかねて復路の予約を直接 ファクシミリで送りつけてみよう． ふう， とりあえず一件落着． Yahoo! Travel は検索のところだけ役にたったな． 今晩はもうさっさと寝ようかなぁ．
• けべっく出発まであと 13 日．
• 今日の食卓
  • 朝 (0715): 米 0.6 合． チンゲンサイ・タマネギ・アスパラガスの 炒めもの．
  • 昼 (1220): 弁当． 米 0.7 合． 朝と同じ．
  • 晩 (1920): 米 0.7 合． 朝と同じ．