ぎょーむ日誌 2006-11-14
2006 年 11 月 14 日 (火)
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0815 起床.
朝飯.
コーヒー.
0915 自宅発.
曇.
0930 研究室着.
輪読会予習.
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0900 より IPBB 輪読会,
いろいろな予定変更のあおりをうけて二日連続.
本日の担当は小林君.
今回は行列モデルみたいなところなんだが
……
この IPBB は「植物の個体群動態の教科書」と銘うっておきながら,
個体群動態に関する Silvertown の説明はぼろぼろで
(とくに数式まわり),
ここだけ読んでもほとんど意味が取れない.
一般化もヘンであるし,
ちっとも具体的でもない.
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そして植物の個体群動態モデルが行列モデルだけってのはどうよ
……
この章で「つぎはぎ」的に環境変動性だの密度依存性だのもちこむと,
行列モデルのご利益
(「固有値とそれに対応する左右固有ヴェクトルで何もかもわかりまーす」
とかいうアレ)
がまったくなくなるわけで.
いまどき生態学会大会の一般講演でも
「固有値計算したら,この集団は無限大にむかって
指数関数的に増大していくとわかりました」
とかないよ.
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さらに植物生態学では行列モデルなど個体群動態モデルの推定に関して,
固有の問題があって
……
(たとえばプランクトンの個体群動態研究とは異なり)
植物の場合は
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個体が動かない
→
空間相関・「ブロック差」の発生
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動かないので個体識別が可能 (な場合が多い)
→
「同じ個体」と識別されるものから何度もサンプリング
(経年変化など)
→
「個体差」ある状況での擬似反復
(pseudo replication)
動かない・個体識別可能という特性が意外な面倒を惹起している
(パラメーター推定にあれこれと注意が必要),
ということを行列まにあなヒトたちは気づいてないんだよね.
以前に Caswell さんがこちらに来たときに質問してみたんだけど,
「まるこふだからいいんだ」
とのことで
(これはまちがい!),
このへんにある問題を理解していなかった.
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北大構内昼飯調達の旅.
本日は比較的あたたかい.
研究室にもどって昼飯.
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夜までなぜか井田君の光合成曲線推定問題につきあう.
これはなかなかたいへんで,
しかも本日中には部分的にしか解決できなかった.
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要するに LI-6400 で測定したデータから,
2 処理に合計 7 個体,
各個体 3 シーズンの測定値あり,
光合成曲線を推定しなさいという問題なんだけど,
以下のような面倒がある.
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光合成曲線の関数型の問題
(パラメーター数おおすぎ)
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一個体から何度も何度も
(一度の測定で数十個の測定値を一個体からとり,
それを同一個体で 3 シーズンくりかえす)
→
またまた擬似反復 (pseudo replication)
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このめんどうな状況下で
「処理が光合成曲線にカタチを変える」
を統計モデルの中に組みこまねばならない
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まず関数型の問題.
これは私なども母子里林冠モデリングでも (惰性で) 使っている
非直角双曲線 (Thornley 1976) とやらを使おうとしたんだが
……
この 3 パラメーター (呼吸もいれると 4 パラメーター)
モデルを表現している数式,
関数としての性質は劣悪で,
私はくわしく知らないんだけど,
光合成測定ぎょーかいではずいぶんとアヤしげな fitting
がよく使われているらしい.
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R
の
nls()
はなかなか強力な非線形最小二乗法関数なんだけど
……
このタチの悪い Thornley モデルにあてはめるには
start = c(...)
をうまく選んでやらねばならない
(こんなに劣悪な関数型でなければ,
初期値はもっといいかげんに設定しても問題ない).
しかし 21 セットもいちいち初期値を吟味してられない.
とくにこのあと「個体差」考慮した mixed effects
モデルがひかえてる場合には.
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もちろん
R
には
optim()
とかあるので Newton 法では苦闘させられる問題であっても,
Nelder-Mead 法など
「ゆっくり探しまわる」
方法がいろいろあるわけだが
……
これも mixed effects がらみつまり nlme()
とのかねあいで却下.
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ということで,
まったく十分に現象を説明できている
2 パラメーター
(「初期勾配」「最大値」)
モデルを使うことにした.
統計学的なモデル選択の観点では,
こちらのほうが良い.
さらに
Pmax * (1 - exp(-f * I))
といった関数型なので,
関数としての性質はだんぜん良い.
nls()
ならものの数秒で 21 本の光合成曲線をぴたっと推定してくれる
(下の図はそのうち 12 本).
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さて,
次にこれを (たまたまここしばらくあれこれと勉強することになった)
nlme()
で非線形モデルの mixed model 推定やるわけで
……
とりあえず処理・シーズンを考慮しない,
「個体差」だけ考えた推定は何の問題もなく始末できた.
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しかし処理だのシーズン変化だのを
光合成曲線モデルに組みこむところでいきづまった
……
くだんのややこしい
nlme 本
とかながめてみたんだけど,
複数の fixed effect 要因
(光量 + 処理 + しーずん)
あるモデルの計算ができないんでは?
という疑惑が
……
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本日はここまで.
もうちょっと調べてみてわからなかったら
……
この問題も階層ベイズモデル送りだ.
これなら必ず計算できる.
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1900 研究室発.
とある事情 (?) でお供をもうしつけれられて,
地環研最近傍「サンクス」北側の洋食屋「ねこや」に初めて入ることに.
当店は (べつに悪く言ってるわけではなく)
つねに「ゆっくり」がぽりしーのようで.
しかも本日はピザの日で店内は満席.
カウンター席目の前の厨房で何枚ものピザが次々と作られ,
オーブンで焼かれて
……
別の席に運びさられていくのをのんびりと見おくる.
一時間ほどして巨大なピザがでてきて,
これまたゆっくりと食べることに.
2130 帰宅.
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[今日の運動]
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[今日の食卓]
- 朝 (0840):
米麦 0.5 合.
ワカメスープ.
- 昼 (1330):
研究室お茶部屋.
北大生協の巻きずし.
- 晩 (2010):
北 12 西 4 (5?) 「ねこや」
ピザの日,
24cm (?) ピザ.
トッピングは生ハム,
生バジルなど.
たいへんおいしかったです.
ポタージュ,
コーヒーつき 850 円.