ぎょーむ日誌 2005-10-28

2005 年 10 月 28 日 (金)

• 0720 起床． 朝飯． コーヒー． 0840 自宅発． 曇． 0855 研究室着．
• 論文セミナー予習．
• 1000 より 論文セミナー ， 本日は牛原さんによる解説で葉っぱの中の窒素ふりわけのハナシ． 落葉樹と比べると常緑樹は細胞壁内とか光合成に関係ないところに 窒素を分配してるんで， 同じ窒素濃度の葉っぱでも常緑樹のほうが光合成速度が低いんでしょう， というような． めまい覚える多重検定による多種間比較はともかく， 基本的にはそういう内容．
• このへんの分野って， 隠されたとゆーか undocumented な制約 みたいなのにもとづくハナシが多いような気がする． 窒素 1mg はほにゃららモルの炭素固定する必要あります， これは世界共通です， みたいな． よくわからんな．
• そして種間比較なるものはいつまでたっても解決できない難問， という気がする． 今期の修論， 屋久島葉っぱ問題にせよケムリ発芽問題にせよ， 種間なハナシになりそうなんでアタマいたいんだけど．
• お茶部屋で窒素と葉っぱ問題について議論あれこれ． 院生とハナシしていると， 他の undocumented (implicit?) な制約の存在に気づかされる． 熱帯だろうが亜寒帯だろうが， 「ノーガード戦法」な葉っぱは「常緑」には存在しえない (どんなに短命であっても?)， とか．
• 昼飯．
• 昼飯後は夕方まで牛原さんと屋久島葉っぱデータ解析のつづき． データはでそろった． 牛原さんの作図努力で測定した項目間の傾向はわかった． 「まあ何とか推定・予測できそうなこと」 構想の整理もできた． あとは計算するだけ， か ……
• セミナー一時間前に 名寄 から野口さんが来てくださる． 今日は日帰りだそうで． なかなかたいへんそうな．
• 1630 より Trendy セミナー， 本日は野口さん， 中川研究林で択伐やったら森林がどう変化するか， というハナシ． 稚樹の新規加入・成長には顕著な効果アリ， というわけではなさそう． 林床のササのバイオマスは増えてしまうというような．
• データ解析はなかなか工夫されてて勉強になった． 5cm きざみ林尺の測定なんで logistic 回帰で調べました， といったアイデアは実に正しいと思う． 苫小牧の樹木直径成長モデリングもそうなんだけど， ニセ連続値は本質的に離散値にすぎないという性質をむしろうまく利用した 推定計算にもっていくほうがスジがよいように思える．
• 稚樹の分布に関してはカイ二乗検定とかより， なにか回帰モデルに帰着させたほうがわかりやすいんでは， とコメントしてみる． すると出現個体数ゼロの調査区画がけっこうたくさんあって …… ということなんで， 例によって zero-inflated な方法をおススめしてみる:

  Martin, Tara G., Wintle, Brendan A., Rhodes, Jonathan R., Kuhnert, Petra M., Field, Scott A., Low-Choy, Samantha J., Tyre, Andrew J. & Possingham, Hugh P. (2005) Zero tolerance ecology: improving ecological inference by modelling the source of zero observations. Ecology Letters 8 (11), 1235-1246.

  R にはこのあたりの最尤推定計算やる zicounts なる package ある．
• パス解析． データ解析の考えかたとしては新しいものではなく， むしろ数世代前ぐらいの位置づけなんだが， これが実際の応用されるのを見たのははじめてみたんで， 「なにやってるのか」 をじっくり考えてみた …… やはり役にたたないというかんぢ． やっていることはモデル選択と条件つき予測計算であり， これはまっとうな部分だ． 問題なのは 世の中のすべてを標準化正規分布の推定問題にすりかえてしまっている点で， このために結果の見とおしがすごく悪くなっている (もちろんモデリングとしてはぜんぜん適切ではない)．
• このあたりは現在ならば Bayesian network ですっきりわかりやすく整理されている (世の中に誤解あるんだけど， 旧世代の統計的手法は現在のものに比べるとむしろ 格段にわかりにくい …… 過度に単純化したモデルをむりやり現象にこじつけているからだ)． 今回のように構造が比較的簡単なら ふつーに最尤推定・モデル選択・条件つき予測計算やればよい． すると林冠疎開 (択伐による gap 形成をこう呼ぶらしい) によって林床植物の種数が何種類減少されることが予測されます， と具体的に結果を述べることができる …… というハナシを野口さんにしたら 「そっちのほうがよさそうですね」 とのこと．
• セミナー後， 北大生協中央食堂で野口さんや院生と晩飯． 野口さんはそのまま 2000 ごろ札幌発の道北いき最終列車でもどられる． 2015 研究室発． 2030 帰宅．
• 今日は苫小牧問題は何もススまなかった．
• [今日の運動]
  • うんどう休養日になってしまった
• [今日の食卓]
  • 朝 (0720): クロワッサン．
  • 昼 (1230): 研究室お茶部屋． 北大生協弁当． 500 円． といっても揚げものとかはいってない， へるしーっぽいもの．
  • 晩 (1920): 鮭フライ & 野菜炒め定食． 378 円．

[北大生協中央 2F 食堂]

なんと 2000 まで営業してたのか (平日のみ)． 同じく 2F の購買は 2100 まで．