ぎょーむ日誌 2005-06-01

2005 年 06 月 01 日 (水)

• 0720 起床． 朝飯． コーヒー． 洗濯 …… この洗濯機， かなり手動洗濯機化してきた． 0900 自宅発． 晴． 0915 研究室着．
• ツガザクラ問題にまたトラップされる …… しかしこれは意外な難問というのがわかってくる． 私も含めて， そもそも世の中のモデル屋とゆーのは， たいしてとゆーかほぼ無根拠の関数型なんぞてきとーに導入して， 数理モデルをでっちあげていく． それですむなら何もナヤみはない．
• 関数型はきまってもそれを構成するパラメーターの値を決めるのは面倒だ． たいていのモデル屋はこれもてきとーに決めちまう． しかしながら， 私は観測データとの対応が気になる． では， どうすればいいのか?
• ヒサゴ沼 (大雪山系内) まわりの 調査地 で得られたデータってのが， いろいろあってですね． つまりこれと合うようにパラメーターを決めてしまえば， 当方としてはラクだろうと考える． ところがこれはラクではない．
• 観測と数理モデルの対応づけをきちんとやるためには， 合理的な確率論的モデルにもとづく最尤推定法が必要になる． では， スジのとおった確率論的モデルを構築できるほどに このあたりの現象がよくわかっているかと言えば …… 必ずしもそうではない． たとえば， 結実ぐあいの調査をやっていた時間・場所において， いったいどれぐらいの訪花昆虫 (マルハナバチ) が飛び回っていたのか? といった基本的なことは何もわからない．
• マルハナバチがどれぐらいいたのかわからないけれど， 花蜜量の多い樹種をマルハナバチはかなり好む (彼女たちは効率をとても重視するらしい)， とか， あるいはハチがいくら来ても同じ genet 内の花粉だったら 自家受粉になるんでうけいれがたい (あるいは部分的に OK) てなことを示しているらしい観測データはある． しかし， そもそもハチがどれぐらいいて， ひとつの花は開花期間中どれぐらいの訪問をうけているのか? これはよくわからない．
• わかってるところとわかってないところが混在している． そのために 「ある条件におかれた花の結実数は? (確率変数として答えよ)」 という単純な質問に答えられない．
• ここは手ぬきをすべきではない． 手ぬきをすると， あとでつじつまが合わなくなるからだ． 私は小心なので 「簡単に見破られるウソ」をついてしまうと落ちつかず不安になる． 安眠のためには， もっと見破られにくいウソ， あたかもホントであるかのようなウソが必要である． 統計学の発展の歴史とは， まさにかかる 「安眠のためのウソつくり」 をめざしてきたものである．
• 「見えてる部分」 と矛盾しないよう 「見えてない部分」 の状態を列挙生成できるような関数を考えつつ， このテの難問によりよい答えを出していく， とゆーのは現代のデータ解析わざのひとつの典型にほかならない (mixed effects model, EM algorithm, Bayesian inference, ...)． このあたり工夫すればなんとかなりそうなんだが ……
• しかし数時間アタマをひねってみたんだけど， 何が「わかっていそう」「わかってなさそう」 という区別がススんだだけで， モデルの定式化とかは進捗ナシだった． ここはいったん離脱して， アカマツ原稿なおしでもやるか．
• しかしそちらもススまず． 1245 北大構内走発． 晴． 途中， 低温研に講義うけにいく 大学院生たちにであったので声をかけたところ 「うわっ，久保さんだったんですか …… びっくりした． どこの変質者かと思った!」 と糾弾されてしまった． うう． 1320 もどる． やみあがり感まだあり． 昼飯．
• またアカマツつづき． なかなか進捗しないなぁ， と思ってたんだけど， その原因わかった． 「どういう結果が得られたか」 を自分でも忘れていたからだ． ひどいハナシだ． いやはや．
• で， そのあたり再確認すると， さすがに改善作業の効率は多少は改善される．
• かなり抜本的にリストラすすめる． 1740 本日の改定作業， ひとまづ終了．
• 例の発芽データ救出作業のつづき …… これはけっこう苦しい． 処理数 8 でデータシート 8 枚あるんだけど， 処理ごとにびみょーに書式が異なる． うーむ ……
• しかしこのあたりは「いつもの悪戦苦闘」 にすぎないので， あとでまたやり直す可能性を考慮しつつ作業をススめる． ちょっとした作図ができるところまではできた．

[カブンサンな発芽?]

数値をながめてるうちに， この植物種 (30 数種あるうちの一種) は 「神の手」によって過分散 (overdispersion) が生じてしまってるんでは， と思ったんで作図してみたんだが …… まあ， たしかにカブンサンぎみ， ですな． 他の多くの植物種では 「いかにも二項分布」 とゆーかんぢで， 実験者は意外にも注意ぶかかったのかも， とか (厳密には分散チェックせんとわからんけど)．

• 帰ろうとしたら「専攻科院生用のメイリングリストがひどくて」 といったハナシを院生からきかされる． なンか， オワってるねぇ． 2000 研究室発． 2030 帰宅． 晩飯．
• なーんか面倒というか， 将来の面倒を招来するんではと懸念しつつ …… 帰宅前にきいた件について 専攻科長 にメイルかいてみる．

  植物生態の久保です．私の周囲の院生たちから聞いたことなのですが，生物圏
  科学専攻メイリングリスト (ML) に休講案内が日に 2-3 通配信され，それら
  に関して
  「必要もないのに全員にださないでほしい」
  「どこかに掲示すればすむことを」
  「重要でないメイルばかりが来ると，この ML にいざ重要な通知が流れたとき
    にみのがすかもしれない」
  といった評判のようです．個々の講義に関するアナウンスについては，全員参
  加の ML で配信する，という方法はやめたほうがよいのかもしれません．
  御検討いただけないでしょうか．
  

• [今日の運動]
  • 北大構内走 35 分間．
• [今日の食卓]
  • 朝 (0750): 米麦 0.5 合． チンゲンサイ・タマネギ・ニンジン・ブナシメジのカレー．
  • 昼 (1340): 研究室お茶部屋． 米麦 0.5 合． チンゲンサイ・タマネギ・ニンジン・ブナシメジのカレー．
  • 晩 (2150): たきこみ飯． タケノコ煮物． モヤシ・ニラ・豚舌の炒めもの． 最初の二品は大家さんからめぐんでもらったもの．