ぎょーむ日誌 2000-11-17
2000 年 11 月 17 日 (金)
- 0715 起床.
うーん,
昨晩は仕事しないまま寝てしまった.
2100 ごろには寝たから
なんと
10 時間ぐらい寝てるな.
2 日分か.
今朝は 0500 ぐらいに起きるつもり
だったのに,
この目覚し時計は何で
……
はは,
1700 に合わせてある.
- 朝飯・弁当の準備.
あ,
炊飯器の準備してなかった.
これから飯たきか.
シャワー.
朝飯.
- 0812 自宅発.
雨.
燃えないゴミだし.
0832 東京モノレイル流通センター発.
浜松町の気温 4 ℃ ?
そんなに低いはずは.
見まちがいか
(その後,
ネット上で今日の東京の最低気温を確認すると
8.4 ℃だった).
雨の都心部は混む.
今日は何を考えたか一番人口密度の高い
経路を選んでしまった.
オリンピックの聖火のごとく
傘を高くかかげなければならない.
[雨の大門交差点付近]
道路工事までやってる
せいで,道はますます
せまい.流れがしばし
ば停止する.
0852 研究所着.
- いんちき追加パラグラフがいまだに書けん.
いんちきをでっち上げるのは
得意なんだけど
……
なぜかやる気がでない.
しかしいつまでもこの問題にかかずらわっていても
時間が無為に失われるだけなので,
さっさとやってしまおう.
いやはや.
- やっぱ,
それだけじゃなく,
もはや古びて欠点も明らかになってる
1999 年版小川動態モデルについて
何かマジメに述べることがくつーである,
とか.
とくにシミュレイションの結果について
何かを述べなければならんのだけど
……
400 年後の森林はこうなります,
という計算結果は
一種の冗談にすぎないと
理解できない読者には
何を説明してやればよいのだろうか.
- ホントに何の進展もないまま,
昼飯時間になる.
何もしなくても
腹は減るんで
ムダ飯とはこのことかと思いつつ
弁当を食う.
- sci.stat.* のような英語の統計学
ニュースグループは
例のドロ沼大統領選挙の話題で
やけに盛り上がっている.
フロリダでは乱闘さわぎもあるようだから,
国連はさっさとアメリカに選挙監視の
PKO か PKF でも送ってやるべきなのでは.
- どうでもいいが「小川本」事務局からは
何も言って来ないな
(……
などと書いてると,
このあと 1800 ごろに非常に丁寧な
メイルをいただき恐縮する).
- それはいいんだけど,
「科学」
編集部からも黙殺され続けてるのは
なぜなんだろう ?
……
と思って当該雑誌の web page を
見ると
……
なるほど.
おそらく 11 月 25 日に 12 月号発売だから,
いまはそれの準備におわれていて,
1 月号のことなどかまってられないワケだ.
やっぱり
「見せかけ」の〆切を
一ヵ月も早く設定してやがったな.
- ということは
北大某演習林の某先生のように
「〆切もすぎたから
そろそろ書くこと考えんといかんな」
という戦略のほうが正しかった
……
そして
きっとまた「ホントの〆切」直前になって,
あれこれ書き直せとか言われるんだろうな.
- ……
1600 までノンパラメトリック回帰の本を
熟読していた.
ここまでくれば逃避も立派な仕事だ.
うん
……
などと開きなおってる場合ではさらさらない.
ああ,
どうしよう.
- とりあえず現状をあれこれココに書いてみるか.
少なくとも「仕事をしている」
という錯覚にはひたれる.
- 正木さんの章
(毎木調査 10 年データーに基づく群落動態)
や
阿部さんの章
(稚樹段階の群落動態)
もその他の人々が書いた部分も,
何をどういう方法で解析したかというところは
良くわかるし,
その結果がどうなったかという概要もつかめる.
- 問題は,
それらが私の書いた怪しげな推定の結果や
ちょっと再検討すべきシミュレイションの結果
などと比較して,
何かを論じてみせる,
ということである.
同じ材料を使っていながら,
先方は手作り料理みたいなものであり,
こちらは自動化された工場で大量生産される
規格品みたいなモンだしなぁ.
- これらの味を比べてどうなるのか,
という気がする.
違ってて当然だし,
似てればそれは同じ材料を使ってるから
これも当然.
- 手法そのものの比較は
……
これも意味なさそう.
こっちの目的は
製法の規格化と製品の品質をそろえる
ところにあるのに,
むこうは伝統の料理技法の再現だからなぁ.
で,
動態モデルおたくでもなければ
そんなコトはどうでもよい違いなのである.
食ったヒトの大半は
「え ?
手作りだろうが工場生産だろうが
それが
動態パラメーターであることには
変わりないんでしょ ?」
という認識なんじゃないかな.
- じゃあ,
てきとーなでたらめを書こうとすると,
今度は編者たる中静さんに
チェックされてしまうだろう.
つまり
(ごまかすことは不可能であるとしても)
編者のお目こぼしをもらう程度には
もっともらしさを持ついんちきを書かねばならない,
そういうことになる.
- そんなの書けるかなぁ ?
ここまでくると専門家が読んでも
「正しいとは思えないが,
間違ってると立証するのは面倒」
というレヴェルだ.
つまり論文にも使えるパラグラフ,
ということか
……
いかんいかん
無能な自分に
むやみに難しい課題を出すのは
やめよう.
- 他の分野は知らないけど,
生態学の論文で書かれているこういう
「引用して比較」の議論は
失敗に終わってるものが少なくない.
あまりにも比較不可能な研究を
もっともらしく比較してみせれば,
「あ,
こいつ何もわかっていないな」
などとバレてしまったり,
頭の構造を読者に疑われかねない.
- こういう場合は
少々攻撃的になって当方のやり方が優れており
他のはダメというような内容
(私どもの作りました工場生産品のほうが
手作業に比べまして
商品あたりの単価が安くて生産速度も速い
……
などとやくたいもないことを
得意げに述べる作文)
を
表面的にはせいぜい礼儀正しく
書くのがラクなんだけど,
「小川本」でそんなこともやってられない.
- いやいや.
わかったぞ
……
今回の場合は,
それ以前に問題があるんだな.
まず何より自分の分担章で提示してる
シミュレイション計算なるものが
とうていホントらしいとは思えないし,
パラメーター推定だって
その後いろいろと改善してしまっているから,
昔に得られた結果について
あまり強調したくないのである.
- うん.
こっちのほうが核心的なのかも.
2000 年版の小川動態モデルについては,
(少なくともいま現在のところは)
結果はともかく方法については
自信があるから,
「科学」原稿のようなアヤしげな
しろものを
(比較的に)
素早くでっちあげることができたのである.
- ……
ということで,
問題は他のヒトの書いたところではなく,
「自分は何をトチ狂ったことを書いてしまったのか」
という見たくもないモノを直視する作業から
始めなければならなかったようだ.
私に勇気を.
- えーと
……
1 年半前に書いたところによれば
……
- 400 年間で小川群落保護林 (OFR)
の樹種構成は大きく変わってしまう.
更新速度が高い,
と推定された林冠木に置き換わる.
- その帰結として BA が小さくなる.
これは次の理由による.
- QRS (コナラ) や CSC (クリ) といった
樹種は最大到達サイズが大きく
BA に貢献するのに,
更新速度が低い
と見積もられている
将来は衰退する.
- それに対して,
最大到達サイズが小さい
ACA (オオモミジ) ・
CRC (サワシバ) ・
STO (ハクウンボク) といった
樹種が更新速度が高く,
将来はこれらが優占的になる.
- ……
なーんだ,
「結果」というやつはコレだけか.
その後の部分では
他の章と「比較」しつつ
モデルの改良案について述べているな.
むろん,
これは「結果」などではなく,
議論に見せかけた単なる「防衛」にすぎない.
編者や査読者から
とくにケチもついてないから,
ほっとけばいい.
- 上の1999 年版久保氏
(私は以前のヴァージョンの私について
責任あるんだろーけど)
の議論
は個体密度の変化について
何も述べていない,
という点で片手おちだな.
あ,
Table には示されているのに.
- それはまぁ,
置いといて
……
方法の違いも無視して
(手作りなのか工場生産なのかは勘案しない
というコト),
BA という森林全体で平均化されてしまった数値と
上で取り上げている 5 樹種だけにしぼった
(言い替えると視野狭窄した)
議論というやつをでっちあげてやろう.
そういうことでいいんでしょう.
- まずは BA について.
正木さんは 2400 個の 5m×5m の区画を
区画内最大個体サイズと
個体密度で分類している.
区画内最大個体サイズ { 大 | 中 | 少 }
と個体密度 { 高 | 中 | 低 } の組合せだ.
で,
各区画が独立 (周りとは無関係) であり,
しかもマルコフ過程にしたがうとすると,
森林の遷移としては可能性が高い
「(最大個体)・(密度)」の組合せの変化は
……
「少・低」→
「少・高」→
「中・中」→
「中・高」→
「大・高」
(これはいわゆる成熟した林分)
と流れる確率が高くなるような
推移確率で構成されている.
- これで計算すると OFR は
成熟した (「大・高」) 区画が
どんどん増えていき,
当初は 12% 程度だったものが
300 年ほどすると全体の 35% を
占めるようになる.
OFR は過去の大規模撹乱 (森林火災)
から現在は回復の途中にあり,
成熟しつつ (BA が増えつつ) ある
……
なるほど
これは私の計算結果とはまるで逆だな.
- ここでは方法の違いを述べてしまって良いのかな ?
正木さんは BA に関わる解析では
樹種を区別してなくて全部コミにしているから
こういう結果になっているのである.
たとえば,
途中までは
それほど太くならない
オオモミジだった区画内最大個体が
最後の「大・高」区画では
太いコナラに変じてしまうわけだ
- 念のため書いておけば,
だからと言って,
私のが「正しい結果」という気分には
まるでなれない.
たとえば,
現在の 6ha 調査区内の観測では
オオモミジの集団には
それほど太い個体は含まれていない.
これは確かである.
しかしながら 100 年後には
実際のところどうなってるのか,
私などにはよくわからない.
なにしろ
オオモミジは「近ごろ」になって台頭しつつある
樹種みたいなので
……
- 1750,
ここまで書いたところで
「小川本」事務局から連絡メイル.
「早く出せ」督促かと恐怖しつつ読んでみると,
そうではなく
私の時間かせぎメイルの内容に
丁寧に対応してくださるものであったため,
恐縮しつつ返信する.
この面倒な出版事務を担当させられている方は
そういうヒトなのである.
- さて,
でっちあげ「比較」の続き.
阿部さんの章は稚樹動態解析なので,
当然ながら,
森林全体の BA については述べられていない.
ならば今度は
QRS (コナラ)・
CSC (クリ)・
ACA (オオモミジ) ・
CRC (サワシバ) ・
STO (ハクウンボク)
の 5 樹種だけの評価について.
- えーと,
正木さんの章では本文中には
特には言及なし.
Table を見ると
……
- コナラ:
「生活史ギルド」は
対陰性なし・林冠木.
「Habitat ギルド」は
斜面上部に存在,
大ギャップ依存,
(上でいう)
「小」に多い.
- クリ:
「生活史ギルド」は
対陰性なし・林冠木.
「Habitat ギルド」は
斜面上部に存在,
大ギャップに依存,
「小」に多い.
- オオモミジ:
「生活史ギルド」は
対陰性あり・林冠木.
「Habitat ギルド」は
どこにでも存在,
ギャップ依存性不明,
特定の区画に多いわけではない.
- サワシバ:
「生活史ギルド」は
対陰性あり・林冠木.
「Habitat ギルド」は
斜面下部,
「中」区画に多い.
- ハクウンボク:
「生活史ギルド」は
対陰性あり・非林冠木.
「Habitat ギルド」は
斜面上部,
大ギャップ依存,
「小」区画に多い.
……
うーん.
- それでは阿部さんの章ではどうなってるか.
本文中ではこちらでも特に言及なし.
- Figure 12-1.
サワシバとハクウンボクだけが
ゆーいに「ギャップ」区画に偏ってる.
前者については当り前で
その名のとおり沢すじに
生えてるからである.
- Figure 12-2.
ハクウンボクはギャップの中でも
とくに大ギャップ依存か.
このあたりは正木さんのギルド解析と
一致している
(つまり稚樹とそれより大きいサイズの
間にはあまり違いがないらしい).
- Table 12-1
……
細かいのでトバす.
- Table 12-3
……
ANOVA と MANOVA という
二種類の分散分析の結果が示されてるが,
このふたつで矛盾してない ?
えーと本文にもどると
……
あまりはっきりしてない,
とあるな.
- ……
とゆーことで,
阿部さんの稚樹動態の第 12 章とは比較不可能.
正木さんの書かれた第 6 章とだけ比較することにする.
要点は
- BA に関する計算結果がまるで逆.
- これは第 6 章のモデルでは
区画内の個体を見ていないから.
- 第 14 章 (個体ベイスモデル)
で衰退すると予想された
コナラ・クリは
どちらも
第 6 章でいうところの
対陰性なし・林冠木という
「生活史ギルド」
に属している.
- 一方でオオモミジ・サワシバ・
ハクウンボクは
どれも「対陰性あり」
の生活史ギルド.
……
ってなことを 1 パラグラフにまとめますか.
そんなコト言って何がオモシロイんだ,
というツッコミには寛恕を請うことにして.
- ついでながら,
正木さん・阿部さんの両方の章で強調されているのは
撹乱様式の重要性である.
そもそもそういうデザインの調査になってる
わけだし
……
うう,
私の章ではまるでふれていないなぁ.
まぁ,
今回はよいか
(「科学」原稿ではさすがに多少は
撹乱の影響がわかるようなシミュレイションやってるが).
- 時刻は 1930.
気分転換するべく
帰ることにしますか.
残りは自宅で
(できるのかい ?).
- 1940 研究所発.
空腹だと本屋 dan にトラップされる.
2025 東京モノレイル浜松町発.
2103 帰宅.
腹へった.
しかしこれから飯炊き.
- 晩飯食ってしまうと,
のんびりしてしまうのが
問題ではある.
- 送られて来た他の章の原稿にも
もう一度目を通す.
うん.
上の構想で良いな.
- とりあえず,
そのとおり書いてみる
……
できた.
どうしてこうすぐに終るような仕事に
何日もかかってるんだろうね.
- しかし夜中に書いた文章は bug だらけに
決まってるんで,
明日みなおしてから送信しよう.
- 鍋で温めた牛乳がおいしい季節になりました.
- 今日の食卓
- 朝 (0750):
米 0.6 合.
味噌汁と野菜の炒め煮.
昨晩の残り.
- 昼 (1210):
弁当.
米 0.6 合.
野菜の炒め煮.
昨晩の残り.
- 晩 (2140):
米 0.6 合.
朝と同じ.