すでに夕方.
今日はどうも「動物生態学の日」,
のよーでまたどうぶつ質問.
こないだおはなしされていた、魚(ヤマメ?)を二匹水槽で飼って
テキトーに餌をやると自動的に順位ができてサイズ差が大きくなる
という話ですが、元論文とか誰がやっている仕事かとかって覚えてます?
気になったのでご存知なら教えてください。
私はちょっとばてぎみだと下記のごとく要領の得ないメイルを書きがちで,
しかも書いてる途中に自分のまちがいに気づいて訂正するんだけど,
めんどくさくなって前に書いた部分も消してない,
といった挙動をとることがわかる.
私は院生のときに同じ九大理学部生物の大学院にいた箱山さんというかたが実
験してました (実験してた場所は中央水研の上田支所).箱山さんの現在の所属
はその上田支所です.
http://www5.ocn.ne.jp/~hakoyama/hiroshi/home.html
論文は
http://scholar.google.co.jp/scholar?q=hakoyama+iguchi+growth
と検索して二番目にでてくる
Transition from a random to an ideal free to an ideal despotic
distribution: the effect of individual difference in growth
だったと思います (他にもあるかも).魚はヤマメ (Oncorhynchus masou
masou) ではなくアマゴ (Oncorhynchus masou ishikawai) でした.たしか遺
伝的には同等なクローンアマゴをつかっていたと思います.
ここには個体ごとのサイズ変化が示されてなくて残念なのですが(もとデータは
個体識別してたはずですが),要するに feeder が二箇所あったときに,
[1] エサが feeder1 だけから供給されるとき
個体間の体格差がでかくなる.理由はエサがおちてくる場所がきまってるので,
そこに居すわるヌシみたいなやつがでてきて,エサを独占するから.
[2] エサが feeder1 と 2 から供給されるとき
エサが落ちてくるたびにサカナたちがあちこち動きまわるので,けんかは弱い
けど素ばやい個体もエサをとれるので,体格差はそんなに大きくならない
……というハナシだと思っていたのですが,Fig. 1 とかみると [1] は第四週
目だけで成立,[2] もエサ供給速度が feeder1:feeder2 = 5:5 がもっとも均質
というわけではない,ということで,あまりうまく表現できてないようです.
水槽内 6 匹のうち 1 匹だけがでかくなる,といった現象は (この現象は昔か
ら知られていて「とび」というそうです) まちがいなく観察されたはずなんで
すが……
と思ってもう一度 google scholar にもどってみると,二番目ではなく三番目
の体格差論文でした (いやはや,われながらうかつ……):
Why is competition more intense if food is supplied more slowly?
エサやり速度がゆっくりしてると aggressive なやつがエサの落ちてくるポイ
ントを独占する,エサやり速度がはやいとエサくってるあいだに次のエサが落
ちてくるので他の個体もエサをとれる,といったハナシだったと思います.
ようするにサカナみたいな動物も「水槽の中」と場所を限定してしまうと,
植物みたいな固着性生物的な競争様式になってしまう,
ということで.