ぎょーむ日誌 2004-10-08
2004 年 10 月 08 日 (金)
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0830 起床.
朝飯.
コーヒー.
0910 自宅発.
曇.
0920 研究室着.
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また鳥の論文原稿にとりくむ
(マヌケなことに,
これの対象はシラサギではなかった
……いつものごとく,
私のかんちがいである).
昨日かきわすれていたんだけど,
この target のほうでは二値データなほうは理論どーりの
平均 vs 分散関係なのに,
カウントデータについては underdispersion
(過小分散)
な Poission 分布だ.
つまりこれは Poission ではないのだろう.
巣のあいだにイヤな相互作用がないと考えるならば.
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そうか,
つまり二項分布もしくは多項分布で表現されるモデルと,
それを単純化した (多値確率変数を二値に射影した)
ベルヌーイ分布にしたがうであろう「成功した vs しなかった」
モデルの対応を考えりゃいいのかな?
そうすれば「Poission だとすると underdispersion」
なナゾの説明になってる.
つまり産卵数の上限が重要だ.
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あ,
しかし調査地によっては平均 = 分散に近いな.
調査地 & 年の組み合わせによっては
平均 < 分散だったり.
こういう
``overdispersion'' は単純に「個体差」というか,
抱卵の上手下手なんかが反映してるんだろう
と理解すればいいような気がする.
えーと,
良くない年・良くない場所では個体差がきわだつ,
というような.
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と整理しておいてから,
まずは元ネタ論文のほうを読み直してみる.
えー,
元ネタ論文のほうはここに書いても差し支えないと思うんで,
記録しとく.
Moreno, J., and V. Polo, J.J. Sanz, A. de Leon, E. Minguez, and
J.P. Veiga. 2003. The relationship between population means and
variances in reproductive success: implication of life history and
ecology. Evolutionary Ecology Research 5: 1223-1237.
こちらの underdispersion はナゾのままなんで.
何か計算方法に問題あり,
なら理解は容易であるんだが
……
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何となくわかってきた.
おそらく,
あくまでおそらくなんだが,
これらの図に描かれている平均 vs 分散関係から読み取れることは,
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産卵数の上限があり,
良い環境にいるどんな母親であっても
それ以上は産めない
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環境が劣悪になると孵化がうまくいかなくなるんだけど,
そのときに複数個ある卵に対する孵化努力の
やりかたにふたとーりあり:
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環境が悪化すると巣内の複数の卵のうち
特定の卵だけは孵化させようと努力する
(残りは孵化をあきらめる)
(これに属していそうな鳥:
マダラヒタキ,ムクドリ,アオガラ)
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環境が悪化しても巣内のどの卵であっても
孵化させようとする努力は同じである
(これに属していそうな鳥:
ウミバト,アホウドリ,ウミツバメ)
というようなコトがありそうな気がする.
いや,
待てよ.
卵数の違いが何か影響してるのかな?
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東研にいる長谷川理さんに,
このあたりの質問メイルをだすと,
わざわざ 8F まで来てくださった.
鳥類の造卵 → 産卵 → 抱卵 → 孵化
→ 雛成長,
の過程についていろいろと教えていただく.
原稿のデータに示されている平均 vs 分散関係から
読み取れる内容にそれほど間違いはなさそう.
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ただし,
上で孵化と書いてるけど,
これはもっとあとの巣立ちまで含むのではないか,
との御指摘.
たしかに hatched ではなく fledged と書かれているな.
これは辞書的には
「羽の生えそろった、(ひな鳥を飛べる様になるまで) 育てた」
という意味か.
そして「巣内えこひいき」が発生するならば,
抱卵段階より雛へのエサやり段階のほうが容易ではある
(あるいはヒナ間の強弱関係に左右される巣内エサとり競争).
これは鳥類なヒトたちには良く知られている現象だそうで.
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それから
エサ場をコロニー内で共有している海鳥系と,
なわばり維持な鳥たちのどちらで
「巣内えこひいき」
が発生しやすいか,
はよくわからないとのこと.
ふーむ,
興味ぶかい
……
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いきなり雑用の嵐にまきこまれる.
雪野さん産休中に講座事務の仕事を手伝ってくださる
三浦さん用の ThinkPad R50 届いたので,
これの設定.
すると 1500 からの Davis さんの大学院生むけ論文の書きかた
講習会の教室について,
心身ともに疲労する問題が発生して一時間ほどふりまわされる.
結論としては C104 を予約しといて大正解だったわけだが.
また ThinkPad な雑用にもどる.
ひととーり何とかなったので,
使用者たる三浦さんに説明.
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昨日のぎょーむ日誌に「underdispersion な二項分布」
うんぬんと書いたところ
(正確には「underdispersion な二値分布」とでも書くべきか),
さっそく粕谷さんから「それは一般化超幾何分布でしょう」
という御指摘をいただく.
この分布は
3 年前
にも教えていただいたもので,
(
generalized hypergeometric distribution
),
超幾何分布の variation である.
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超幾何分布
と対応する壺モデルを考えよう.
赤玉があたりで,白玉がはずれ.
赤玉をひいたときに c 個の赤玉を壺に追加するのが
負の超幾何分布
で,
c 個の白玉を追加するのが一般化超幾何分布とのこと
……
「一般化」というぐらいだから,
全部をふくむのかな?
c = 0 なら超幾何分布,
赤玉 c 個なら分散が大きくなる超幾何分布 (負の超幾何分布),
白玉 c 個ならその分散が小さくなる超幾何分布,
というような?
で,
赤白どちらでも追加するのが
Polya-Eggenberger 分布
である,
と.
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というふうに整理してみると,
二項分布や Poisson 分布からの逸脱をみたときに,
何でもかんでも混合モデル
と考えてしまう久保式モデリングは問題ありかもしれませんなぁ.
まあ,
overdispersion かつ nested な状況とかだったら
混合モデルが便利であるんだけど.
しかしながら
underdispersion な場合には,
超幾何分布までたちかえってモデリングを検討せんといかん,
というのが今回の教訓.
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私がうだうだしてる間にやるべきことは増殖していく.
浦口さんがカエデ論文をさっさと直してしまった.
そして,
アカマツ問題も放置してる場合じゃない.
そしていつまた院生がデータ解析ちょー難題を持ちこんでくるか
は予測不可能である.
ということで,
いつまでも鳥の査読報告にかまけてるわけにはいかんのだけど
……
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しかしながら全体に進捗よろしくないまま,
2100 研究室発.
2150 帰宅.
いきなり寝る.
明けがたに起きた.
また寝た.
わけわかりませんな.
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[今日の運動]
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腹筋運動 30 ×
3 回.
腕立ふせ 5 ×
3 回.
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[今日の食卓]
- 朝 (0840):
米麦 0.7 合.
ハクサイ・ニンジン・タマネギ・エノキダケ・
豆腐・しらたきの煮物.
- 昼 (1710):
研究室お茶部屋.
米麦 0.7 合.
ハクサイ・ニンジン・タマネギ・エノキダケ・
豆腐・しらたきの煮物.
- 晩 :
食ってない.