ぎょーむ日誌 2000-11-10
2000 年 11 月 10 日 (金)
- 0730 起床.
寝たのは 0330 ごろか.
- 今朝は浜松町なんかに行かなくてよいので,
のんびりとする.
朝飯・弁当の準備.
朝飯.
コーヒー.
シャワー.
一泊旅行の準備.
といっても着替えを用意するだけだが.
こういう作業はゆるゆるとこなすと楽だな.
起床から出発まで 15 分というのは
体に良くない.
- 0910 自宅発.
曇.
0915 京急平和島.
横浜まで 270 円.
東京都心に行くより安い.
0924 同発.
南行きの便はすいてる.
川崎より南の神奈川県内に踏み込むのは
何年ぶりか.
16 分で横浜着.
JR に乗り換え.
横浜から裾野まで 1260 円.
- 0958 JR 横浜発.
普通電車に乗って相模の国横断.
おお,
あれが小田原城か.
たしかに
「関東という袋の口」
に位置してる
(城をすぎると山-海の間に平地なくなる).
1131 熱海.
豊橋行きに乗り換え.
- 1135 JR 熱海発.
1155 JR 沼津着
御殿場線に乗り換え.
単線二両編成ワンマンカー後乗り前降りである.
1219 JR 裾野着.
雨.
富士山はおろか愛鷹山も見えない.
- 1231 バスで同発.
このバスはすごい細道とか
部分的に「盲腸」状態になってる路線を走る.
1259 富士教育研修所着
想像してたより立派なところで,
狭いバス通りよりよほど広い正門→入口道路が
300m つづく.
セミナーは 1300 から始まるので,
私は荷物を背負って走る.
- 1303 セミナー会場着.
ふう.
会場では計量生物学会の世話人のヒトが挨拶してる.
なんだ急ぐことなかった.
- 参加者は講師も含めて 25 名.
性比は異常に偏っており
全員男
である.
いやはや.
この「生物の部」と同時に開催されている
「臨床の部」が数倍の規模なのはどうでもいいとして,
女性多数
……
- 私は計量生物学関連の会に出るのは初めてで,
参加者 25 名のうち話したことあるのは
三中さん・粕谷さんぐらいである.
しかしながらこぢんまりとした集まりの利点で,
終了時までに参加者の 6 割と話すことができた.
- つづいて
三中さん
(なんかすごい web page だ)
が
珍しく (?) 最節約的な語数で話し終える.
すぐさま粕谷さんの講演に引き継がれる.
- 1320 より
粕谷英一さん
(九州大)
「不等分散のもとでの統計的検定
―― 生態学の場合」.
- 前半は広島生態学会で話された内容と同じである.
すなわち「横軸に初期密度,
縦軸に生残率 (= 生残数 / 初期密度)」
をとったときの
タテヨコ相関をとる危険性について.
帰無集団のモンテカルロシミュレイションによる
Type-I Error 頻度の解析.
- 後半は「いくつかの個体群間で形質間の相関の比較」
という問題.
これもモンテカルロシミュレイションで
相関の無い 2 形質を生成し,
「ニセの相関」が生じる条件を調べたものである.
- 以前に聞いたときから質問したかったことを聞く.
前半部に関して
「現象の背後に『生か死か』という
明確な確率論的モデルがあるのだから,
それは最初から二項分布の尤度方程式で定式化すれば,
その『不等分散』ってのはまったく問題にもならないんでは」
というもの.
粕谷さんの回答を私なりに要約すれば,
普通に考えればそういうモデリングをするのは
まったく当然のことであるけれど,
数値を見ると何も考えずに
「まとめて平均を計算」
したがる
日本の生態学者の習性に対応した研究デザインにしている,
とのこと.
- 1420 より
竹澤邦夫さん
(北陸農試)
「ノンパラメトリック回帰の基礎と
分布を予測変数とする回帰への応用」.
- まず平滑化を伴わぬ移動平均がヘンな結果を出すことを示し,
二項フィルターにより滑らかになる実例の紹介.
適当な長さの項数で p = 0.5 の二項分布を用いるのである.
このフィルターはなかなか巧妙だな
……
たぶん昔から知られていたんだろうけど
(私は知らなかった).
- この講演のキモ「分布を予測変数とするノンパラメトリック回帰」
(関数データー解析 functional data analysis).
たとえば回帰分析するときに,
これもまた「なんでもかんでも平均」する前に,
カーネルになっている回帰係数 (回帰関数というべきか)
とデーターの分布の畳み込みを計算してしまおう,
という手法である.
- おわりにノンパラメトリック DVR 法.
「この年は気温の時系列データーがこれこれで,
作物の開花時期は○日でした」
というデーターがたくさんあるときに,
気温データーから開花時期を決定論的に推定する方法である.
やはりカーネルを用いた平滑化を行う.
- コーヒーブレイクになったので,
ようやく昼飯.
持参のおにぎりである.
- 1530 より
三輪哲久さん
(農環研)
「順序制約のもとでの多重比較
―― 検定 vs 信頼区間,
片側 vs 両側 ――」
- いきなり分散分析ワールド.
しかし農学における片側検定の重要性の主張はおもしろい.
- 片側検定のときの信頼区間をどう構成するか.
なんと両側検定の上側のを使うのである.
最初はわからんかったけど
数時間後に「そうかも」
といちおう納得.
- 1635 より
岸野洋久さん
(東京大)
「嗜好の分布,進化の分布と階層モデル」.
- 全編これ最尤推定+ベイズ推定な話である.
「パラメーターの超パラメーターの
超々パラメーターの ……」
というリクツはわかるが,
自分でもしそういう計算プログラムを作れと
言われれば悪夢というほかない.
- 前半は 24 品種のパンジーに対する
「どれが好きですか」
アンケイトの解析.
花卉ぎょーかいのマーケティングとしては
切実な問題らしい.
心理学方面で使われている少々あやしげな
確率論的選好モデル
(「嗜好」が正規分布で表現されるのである!)
を用いた解析.
この確率論的モデルのパラメーターの
超パラメーターの推定まで行う
執念深い追跡は圧巻である.
- これも同様の「階層的」な手法で,
分子系統樹の解析.
突然変異率λの超パラメーターの
事前分布を修飾する超々パラメーターの
……
- ともかくベイズ推定は面倒そうだけど,
発想は難しくないとわかったのは収穫であった.
- 1800 より食堂で晩飯.
てんぷら・焼き魚・刺身などなど
ふだん食いつけないものばかり並ぶ豪華な内容である.
もうちょっと品数を減らしてもらえると
助かるんだが.
- 1900 ごろより宴会.
統計学の話ばかりの宴会というのも面白い.
いろいろな人と話す機会が得られて
たいへん勉強になった.
- ところで,
粕谷さんに
「(生態学でよく見られるインチキ統計学に対する)
相変わらず異端審問官みたいな追求ぶりですね」
と申し上げると,
「異端審問」なるコトバが
普段はベルナルド=ギーのごとく冷静きわまりない
この研究者のココロに瞬間的不均衡をもたらしたらしく,
「踏み絵」
「魔女狩り」
などなどといった恐るべき単語を発しつつ哄笑されたので,
ひどくおびえさせられた.
- 2340 おひらき.
寝る準備.
- 今日の食卓
- 朝 (0750):
米 0.8 合.
昨晩のカレーの残り.
- 昼 (1510):
弁当.
朝炊いた飯で作った握り飯.
米 0.6 合ぶんぐらい.
味付けは「のり玉」なるふりかけ.
ラップでくるんで輸送.
- 晩 (1800):
富士教育研修所のえらく立派な
ごちそう.
先週の苫小牧といい,
さいきんはすっかりご馳走ぜめ状態である.