ぎょーむ日誌 2000-05-30
2000 年 05 月 30 日 (火)
- 0700 起床.
晴れ.
眠い.
今日は
(昨晩のジンパで命名されたところによると)
「東くだり」
というやつだ.
流刑,
遠島
……
ええ,
何とでも言って下さいよ.
- 部屋に残された荷物のパッキング.
もう一度,
掃除機をかける.
最後まで働いてくれた掃除機を箱づめにして,
宅急便で送る.
0830 近くのセヴンイレヴンから
それを発送.
1480 円.
6 月 1 日 1800-2000 に到着.
- 0930 ガス代の清算 (2815 円).
- 1000 アパート管理会社の担当が来る.
最後に
管理費なるもの 15000 円をふんだくられる.
いやはや.
1010 ああ,
いろいろとあった
琴似の我が家から撤収.
電気のブレイカーを落し,
鍵を返す.
自転車で学校に向かう.
- この 2 年間は全く自由に好き放題にやらせてもらえた,
研究者として
まことに貴重な時間であった.
人生の中でこのような
一時期をもつことができたのは,
あるいは
たいへんな好運
というべきだろう.
- そのせいかどうか,
この 20 数ヵ月の間に
自分はずいぶんと変わってしまったようにも思える
(体重も 15 Kg ほど減って平均的なアロメトリーになったし).
しかしながら,
毎日 24 時間ずっと泥酔していたような 2 年前ですら,
札幌での快適な生活がいつまでも続かないことは
よくよく認識していた.
それはそうだよね.
何事であれ
いつかは終わってしまうんだから.
良いことも,
悪いことも.
- 路上から振り返れば,
快晴の空の下で
三角山は新緑に輝く.
もはや,
この
小さいけれど気高い山をふもとから見上げて
暮らす毎日は終わった.
残念にも思える.
されど,
傭われモデル屋は
計算機片手に
転戦あるのみ.
よろしい.
ならば,
次なる戦場に向かうとするか.
- 1040 研究室着.
机のまわりを片付ける.
塩寺さんに使ってもらうことになる自転車の鍵を渡す.
1105 こっそりと研究室発,
と思ったら,
塩寺さんに見つかり
「ちゃんと挨拶ぐらいしていきなさいよ」
と怒られる.
今日は皆さん野外調査にでかけていて
数名しか研究室に来ておられないんだけど,
みなさんの仕事の邪魔をしてご挨拶して回る.
1110 地環研発.
背中に背負った荷物は 20 Kg ぐらいか.
- 1125 JR 札幌駅発.
快速エアポート.
巨大なザックを通路に置き,
その上に座る.
航空自衛隊の千歳基地の横を通るときに,
この 2 年間の悲願であった
F-15 が飛ぶところを間近に見ることができ
(しかも 2 機同時離陸だ!),
感銘うける.
1156 JR 千歳空港着.
- JAS の自動チェックイン機で
1430 発の 110 便から 1230 発の 108 便に変更.
荷物を預ける.
ちょっと迷うがおみやげを買ってみる.
1210 早くも搭乗開始.
B-777 <トリプルセヴン>.
搭乗率 3 割ぐらいじゃないか.
空いていて快適だけど,
経営は大丈夫なのか JAS.
- 1236 離陸.
目の前の液晶ディスプレイを外部カメラからの
ライヴに切り替えて外の風景を楽しむ.
ThinkPad を取り出しぎょーむ日誌など書いてみる.
やることないもんで.
リンゴジュースもらう.
昼飯食ってないので腹減った.
1330 着陸体制.
ThinkPad 片付ける.
- 1345 羽田空港着.
1410 京急羽田発.
成田行急行.
1423 京急平和島着.
空港から近いな.
360 円.
蒸し暑い.
改札口に
「殺人犯人見ませんでしたか」
という巨大なタテ看板あり,
ぶっそうなところに引っ越してきたと
うんざりする.
- 1428 (管理会社でもある) 不動産屋着.
1435 新居着.
さっそく不動産屋が新しい鍵に交換を始める.
私は荷物をほどく.
電気・水道はすぐに使えるようになっている.
電話も OK.
お,
電灯までついてるな.
えらく立派なガスレンジもある.
- ここは第一京浜 (国道 15 号) と
産業道路 (国道 131 号) の分岐のすぐ横で
車の騒音が結構うるさい.
排気ガスもすごいんで,
窓とかぜったい開けられない
(そのせいかエアコンが最初からついている).
ついでにときおり羽田空港の騒音も
聞こえてくるようなところだ.
- 1510 住んでるところの通り
(といって第一京浜なのだが)
向かいの
マルエツなるスーパーで買物.
2 階に食品売場ある変なところだ.
昼飯を調達.
帰宅して食べる.
一休み.
- 電話が使えるので当然ながらネットが使える.
モデムがいつもの音響を発し,
fetchmail でメイルがとれたので
ココロの平和が実現する.
- 1600 ごろから,
電気・ガス・水道関連に電話連絡.
20 分ほどで片付く.
- 1635 北大に接続できん.
情緒不安定になる.
また DDoS 攻撃でも食らっているのか?
- 他にやることもないんで,
明るいうちに
近くの商店街の様子を見るために散歩に出る.
- 京浜急行本線の大森町駅は
わが家から歩いて 3 分ぐらい
急行も止まる平和島は 7 分ぐらい.
平和島から急行で羽田空港まで 15 分もかからない,
という具合に交通の便だけはよい.
- 大森町駅の横に Tsutaya なるまあまあのサイズの本屋を
見つけて嬉しくなる.
品揃えも結構おたく的で,
星雲賞とった早川書房の単行本なんかが
並べられてる.
さっそく大田区の 1:13000 の地図と
北海道では見つからなかった
「コンピュータは,むずかしすぎて使えない!」
(Alan Cooper, 訳:山形浩生,翔泳社 2200 円)
を買う.
- 大森町駅のまわりは幅 5-10 m の道の両わきに
昔ながらの商店街が活気を維持してる,
というカンジだ.
九大の箱崎商店街は飲み食いするところばかりが
活気があったような気がするけど,
大森のそれは八百屋・魚屋・肉屋・あらもの屋
なんてのも
かなりがんばってるように見える.
- 平和島のほうにふらふらと歩いていくと,
急に飲み屋の頻度が高まるような気がする.
あとラーメン屋の密度も琴似レヴェルに増大.
持ち帰りの焼き鳥屋なんかもむやみにある.
ここらの人はそういうのが好きなのか.
- とあちこちぶらぶらしたり,
区役所の支所の位置を確認したり,
晩飯を調達したりしながら
2 時間ほど徘徊する.
- 1830 ごろに帰宅したんだけど,
札幌からの移動と長時間の散歩で疲れてしまった.
とりあえず大田区の地図を広げて
10 分ほど熟読する.
- 晩飯食うと急に眠くなったんで
30 分ほど寝る.
- 2030 ごろに
またネットにつなぐと,
今度は北大から fetchmail できた.
やっぱり DDoS 攻撃くらってたのかなあ.
クラッカーたちに愛される北大.
- 仕事やる気にもならんので,
すでに荷物でちらかってる部屋で
「コンピュータはむずかしすぎて……」
を読む.
著者の Alan Cooper は「Visual Basic の父」
として知られる人.
Visual Basic というのは Micro$oft が
90 年代に売った製品の中では
もっとも成功してるんじゃあないか
(商業的にもエポックメイキングとしても),
といえるプログラミング開発環境.
- 当然のことながら Cooper は M$ 社員ではない.
契約をむすび
VB の最初のヴァージョンを開発したのである.
その後のヴァージョンアップには関与してないらしい
(ゆえに次第に腐っているそうだ).
- で,
この本は計算機ソフトウェアの
腐れたユーザーインターフェイスというか
ソフトウェアデザイン全体のいかれぐあいを検討し,
その対策を考えよう,
というもの.
批判されてる従来の手法というのは,
開発過程において「ユーザー」という
平均場近似な架空概念
(ここでも平均場近似ははっきりと叩かれていますな)
に合わせて
「機能一覧リスト」を作り
〆切にあわせてそれを増減するようなソフトウェア開発だ.
- Cooper のいう解決案は,
「ペルソナ」とかいう
明確な個性を付与された個体ベイスモデルを念頭に
ソフトウェアをデザインせよ,
ということらしい.
あと,
ソースコード書く前にちゃんとデザインしろよ,
ということと,
それはできるはずだ,
という例がいろいろと紹介されてる.
山形訳のうまさもあって,
疲れてるときでも何となくでれでれと読めてしまう.
- 明日,
東京ガスの点検が来るまで湯もわかせないし,
風呂にも入れない.
東京の水道水はトリハロメタンだらけだから
ナマで飲んじゃいけません,
という話を聞いたことある.
しかし
閉め切った部屋は暑いので
喉がかわく.
- 飲物を調達するために,
第一京浜ではなく裏通りのほうを
ふらふらと歩いていくと
……
やれ嬉しや.
自宅から 30 秒ぐらいのところに
「第二松の湯」なる銭湯を発見.
さっそく家までタオルなんかを取りに戻る.
すでに 2300 すぎなのが気になるけれど,
風呂には入りたい.
番台のおばさんに聞くと 2330 まで入れるとのこと.
わーい.
- 風呂場のペンキ壁画は西穂高→奥穂→北穂→槍ヶ岳という
マニアックな遠景に,
海岸で生えてるような「松」を前景に配した
なかなかシュールなものでした.
とはいえ,
風呂に入れてたいへんに満足.
江戸の風呂なんだけど,
ふつーの湯温だったので安心しました.
おそらく日本一高い 400 円の入湯料には
ちょっと驚いたけど.
- 風呂上がりにその幅 10 m ぐらいの「裏通り」を
ふらふらと散歩してみる.
美原通り・旧東海道とあり,
道の両わきはやはり商店街である.
へー,
こんなところが東海道だったのか,
と
東海道の「むこう」の末端である
京都山科のせまい旧東海道を思い出す.
- 大森町駅の商店街とこの美原通りの商店街で
ほとんどのものは揃ってしまいそうだなあ.
いやはやすごい.
とはいえ,
住んでるマンションの隣は
「おかまっ子くらぶ」なる
不思議な看板を掲げた飲み屋だったりするんだが.
- 今日の食卓
- 朝 (0710):
パンと紅茶.
- 昼 (1530):
新居の通り向かいで買った
パンとコーヒー.
- 晩 (1910):
近くのスーパーで買った
590 円の寿司.
引っ越し祝いというには
ワビしいですけど.