[6. まとめ]

Q. 3種類の近似計算を比較して何が言えるか?

A. 実用的には齢構造近似が最良の計算方法になりそうだ.一方,"conditional spacing" などで補正した共分散近似は「精度」(ホントらしさ)においてはそれを上回るけど,「説明が難解」なので次点である.齢構造近似の強味は説明が一見もっともらしく見えることにもある.さて今度は学術的な観点で見ると,「人工的な」仮定が少ないわりにはホントらしい結果を出力する共分散近似(もちろん補正ぬきのもの)は「この計算方法は林分動態の本質を押さえている」と評されてよいのかもしれない.平均場近似はそれ単独では何の価値もない計算方法であるけれど,他の計算方法と比較することにより「林分内の負の共分散構造」の重要性に対する理解が深まるので,その意味においては最も学術的に価値のある計算方法だと言える.



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