ぎょーむ日誌 2000-04-21
2000 年 04 月 21 日 (金)
- 0910 起床.
晴れ.
- 登校しようとしたら塩寺さんから
Perl スクリプト質問メイルが来たんで,
回答を ce-ml
(プログラミングに関する講座内のメイリングリスト)
に投稿する.
- 1145 自宅発.
今日も風が強い.
1210 研究室着.
- 講座内メイリングリストになぜか参加しておられる
竹中さん (環境研) からもフォローをいただく.
なるほど 0-padding というのはこうやって実現するのか
- 某大学院生から
「久保さんは無知に厳しい」
なる指摘をうける.
- そいつは
まったく逆でしょう.
たまたまある知識を持っていなかった.
そんなのは
たいした問題ではない.
私は常に
そう判断する.
なぜなら世の中の「知識」というやつの
大半は
(というか,ことごとく)
疑わしくインチキで怪しげなものであるからだ.
- しかしながら,
仕事を進めるためには,
頭の中にそのうさんくさい知識とやらを
一時的に
(具体的には数秒から数十年ぐらいのオーダーかな)
「置いとく」必要がある.
研究者という人々が問われるのは,
このように「置いとく」知識を
どのような手法で獲得したか,
という点である.
ということは,
知識を捨てていく方法も
同様に重要であるな.
- 極端に言えば,
私が重視しているのは
この知識獲得の手法とプロセス,
それだけなのである.
それに比べれば個々の知識など
どーでもよいことだ.
同時に,
いくら私がえらそーにしているとは言え,
私自身は単なる無知なる人間にすぎない,
というぐらいの自覚はある.
- 知識と方法について素朴に考えるなら上の通りなんだけど,
実は
よく考えると
何だかよくわからないコトばかりだ.
知識は重要ではなく
それを獲得する方法がのほうがよほど重要.
そう主張してはみたものの,
「マシな方法」「ダメダメな方法」の判別って
知識に依存して決められる部分が大きいような
……
うーん,
このあたりは考え出すと
いつもよくわからなくなる.
- 世界が閉じていれば,
マシな方法とそうでない方法って区別しやすいんだよね.
そう,
閉じた世界では.
- たとえば,
パラメーター推定のように具体的な問題は
数理モデルというひどく単純化された世界内部だけの
コトなんで,
断定的にモノが言える.
あるデーターに対してどういう手法がマシで,
どういう方法が莫迦げている,
とか.
- だからといって,
マシだと言える方法を採用したところで,
生態学的データーから
推定されたパラメーターなんて,
まったく信頼する気になれない.
なぜならば
元データーは統計学という
閉じた世界の外側にあるのだから.
- ぢつは数学も含めて,
ありとあらゆる種類の問題は
「閉ざされた完璧な世界」
を構築することできない.
二十世紀前半に数学者たちは
かかる共通認識に到達した.
「不完全性定理」.
この命題は正しいのか正しくないのか.
あるいは,
そもそも
そのような判定が可能なのか.
いずれであっても,
今世紀でもっとも偉大な考察のひとつだった.
そのような畏敬はもつ.
- もう少し卑近なところに話を戻そう.
そうだな,
例えばパラメーターと言っても
理科年表なんかに列挙されてる
物理定数なんかは信頼できるのだろーか.
そりゃあ
生態学のそれみたいに値がころころ変わることは
ないんだろうけど,
結論から言えば
不偏でも不変でもなければ普遍でもない量だ.
たとえば,
測定者が人間であるかぎりみょーな偏りは必ず入る.
ファインマンの cargo cult science 講演なんかを
読むと,
面白い例が挙げられてますよね.
- それ以前の問題として,
物理定数だろうが DBH の相対成長量だろうと
パラメーターって
どれもこれもひとつ残らず
モデル依存じゃないですか.
所詮はモデル.
どこかの誰かの思いつき.
尊重するかもしれないけれど,
だからといって信用する必要はないし,
ましてや
信仰する気になれるはずもない.
「絶対的なるもの」の存在を否定した上に
科学は
かろうじて成立している.
狂信者は排除されるのである.
狂信的な情熱をもって.
- 1500 退官した教官の研究室と
標本庫の片付けと掃除.
これも大学院生たちの無料奉仕.
ロッカーを粗大ゴミ捨て場に持っていったり,
机や棚を 7 階に持ち上げたり.
- 1 時間半ほどで荷物の出し入れは終わる.
お茶部屋で仕事終えた人々がお茶を飲んでる.
「退官する教官には
『退官時の荷物片付け予算』
みたいなのがつかないんですかね.
大学教官って際限なくモノや紙切れ集めて,
部屋とかも汚しまくって,
出て行くときは放っておくんだから,
大学のほうで人手や金を手配するべきでは」
とか言ってみる.
大学運営側がそんな準備するはずないでしょう,
との反応.
そもそも今回の講座引っ越し
(新棟が竣工したので,
それに伴う旧棟内の研究室の球つき的移動)
に対しても一円の予算もつかないらしい.
何もかも大学院生の無料労働を
最初からアテにしているわけだ.
何億円もかかるような新築や
新しい備品の買い揃えには
むやみに金を使いたがる連中なのに.
- ケガ人が出ないうちに,
一連の引っ越し作業が無事に終了するのを
祈るほかない.
無料奉仕をアテにされながら,
だれかがケガをしても
「教育研究活動以外の出来事だった」
という事務処理になるんだろうな.
- 2030 研究室発.
小雨がぱらついているけど自転車で帰る.
2120 帰宅.
- 今日の食卓
- 朝 (0920):
豆腐とシイタケの炒めもの.
- 昼 (1400):
弁当なので朝と同じ.
- 晩 (2200):
野菜豆腐カレー.
豆腐・ニンジン・タマネギ
それから完熟トマトの缶詰.