生態モデリング ?? (ecological modeling)
説明
(「生態モデリング」なる語には明確な一般的な定義はない.
このようなまったく不統一に多義的な小項目は削除すべきである)
「生態モデリング」という術語には明確な定義はない.
こんにち出版されている書籍・学術雑誌において
ecological modeling なる語は,
以下のようにまったく不統一な意味あいで用いられている
(なお「生態モデリング」なる日本語はまったく使用されていない).
[1]
ばくぜんと生態学的な現象のモデリング,
とくに数理的なモデリングをさす.
[2]
生態学のモデリングにおいて,
数学的な一般化よりも
ある特定の調査地で得られた観測データとの対応を重視した
数理モデル開発の呼称として用いられることがある.
[3]
[2] とは逆に応用数学の研究において
生態学的な題材を取り扱うときに
ecological modeling と名づけることがある.
[4]
経済学・工学分野のモデリング研究において
生態学的側面も考慮していることを強調するために
ecological modeling と名づけることがある.
(約 400 字/800 字)
メモ・資料
-
勝手に列挙されてた検索語:
システム生態学
/ シミュレーション
/ セルオートマトン
/ リミットサイクル
/ 確率論的モデル/決定論的モデル
/ 構造安定性
/ 人工生命
/ 平衡、安定性
-
International Society for Ecological Modelling
(ISEM).
-
Elsevier
Ecological Modelling
.
Description
``The journal is concerned with the use of mathematical models
and systems analysis for the description of ecosystems and for
the control of environmental pollution and management of resources.
It combines mathematical modelling, systems analysis, thermodynamics
and computer techniques with ecology and management of the environment
and its natural resources. When man intrudes he inevitably
disturbs the delicate balance of organisms, substances and their
activity, that Nature has evolved. Ecosystems can adapt to man's
violent activities, but only up to a certain point. The impact
on ecosystems can only be described quantitatively by the application
of ecological models and systems ecology, and their reactions
to perturbations can only be understood by the use of ecosystem
theory. The fields of ecological modelling, systems ecology
and ecosystem theory are consequently the basis of the philosophy
behind the journal. ''
変更の履歴
-
「このような小項目は不要」
と言ったら「だったら書くな」
ということで,
めでたくクビ.
(2002.03.18)
-
そのメイルにヘンなこと書いてあったので,
わざわざ反論してやる.
私って何て親切なんだろう
……
Date: Mon, 18 Mar 2002 08:52:37 +0900
> ○ 初稿の原稿に,「『生態モデリング』について項目は削除すべきである」と,
> 書かれていますので,この意見にしたがって,久保君によるその執筆項目はなくなっ
> たものとします.
これはけっこうなんですが,何やら思い込みがあるようなので一言.
> ○ そのうえで,生態モデリングという項目は,私が執筆者となって書くことにし
> ます.というのもEcological Modellingという永年の歴史のある雑誌も存在しますし
> ,数理生態学(Mathematical Ecololgy)との対比によってそれらのアプローチの違い
> を明らかにすることも必要と感じますので.
私が執筆前に調査した結果では,
・Elsevier Science ``Ecological Modelling'' の description
・現在出版されている書籍・論文タイトルでの compound noun
``ecological modeling'' の使われ方
・``ecological modeling'' とタイトルにつけている書籍の内容
いずれにおいても上述のような奇妙な定義は見当たらず,原稿に書
いていたように,
「生態モデリング」という術語には明確な定義はない. こんに
ち出版されている書籍・学術雑誌において ecological
modeling なる語は, 以下のようにまったく不統一な意味あい
で用いられている (なお「生態モデリング」なる日本語はまっ
たく使用されていない).
と断定したわけです.
それでもなお「生態モデリング」なる語を使いたいのであれば,ま
ずは (他の編集関係者が指摘していただいても結構ですが)
「ecological modeling は小項目として説明できるほど限定的な
定義がひろく受け入れられている」
「『生態モデリング』という日本語は○○という文献に登場する」
という客観的な論拠を示してからにするべきでしょう.
-
``ecological modeling'' ってのは
1980 年代以前の歴史に関係あるかも,
という御指摘メイルいただく.
当時の数学的生態学モデル屋と対立していた
(これもすでに使われない語)
システム生態学の連中が ``ecological modeler''
と自称 (??) していた,
というような.
まぁ,
それはそれで面白いとは思う.
しかし現状では ecological modeling なる語を冠した
数理モデル屋の書いた教科書もあるし,
そもそも本邦では「生態モデリング」なる語は
一度も使われたことないし.